創業融資の審査ポイント(1)

 ここでは創業融資の金融機関が審査するポイントについて総則的なお話をしていきます。
 創業融資は通常の事業に対する融資に比べて、かなり優遇されているといえます。

 まず事業が稼働し始めた実績ではなく、事業の将来性や経営者の資質が審査の基準になります。さらに金融機関もそれに前向きな姿勢で対応してくれます。日本政策金融公庫のように創業者を援助することを目的のひとつとしている政策金融公庫があり、中小企業保証協会は通常の融資の保証を融資額の80%としているところ創業融資については100%保証することで金融機関の積極的に融資を促してくれているのです。
 こういった理由では創業融資は特殊といえますが、やはりあくまでも融資なので創業融資のポイントを知るにあたり、そもそも融資ではどのような点が審査の対象になるのかを簡単に説明していきます。

①通常の融資の評価


 金融機関は融資先を財務内容等に基づき、信用リスクの程度に応じて10段階~15段階程度に区分しており、これが「信用格付け」と呼ばれています。
 ではこの信用格付けがどのように決まるのかというと、金融機関による定量評価と定性評価というものになります。
 定量評価とは決算書の内容のみで銀行が独自の財務スコアリングモデル(決算書採点基準)で評価する手法であり、客観的かつ自動的に行われます。これが格付けの評価の70%から90%を占めると言われます。
 残りの部分を定性評価が占めます。定性評価とは経営者の人柄や能力、その事業の属する業界やその先行きなどを対象としています。定量評価に比べると不確定な部分がおおく、客観的な評価が難しいのがおわかりなるかと推測されます。
 これに加えて、不良債権の有無などの実態調査などにより格付けの基準となる採点を調整しています。
 つまり通常の融資はほとんどの部分が確実な客観的な評価に委ねられるのです。創業融資はこの部分がかなり緩和されてはいますが、客観的な評価というものが極めて重要であることはおわかりになるかと思われます。

②創業融資の審査ポイント

 創業融資の審査ポイントは「事業の収支見込み」「経営者の能力」「経営者の財務状況」の3点にまとめることができます。


「事業の収支見込み」


 事業の収支見込みとは、創業した事業が利益をしっかりとあげて、継続し、融資金を返済できる見込みのことです。創業融資では日本政策金融公庫及び制度融資では創業計画書の中で、「事業の見通し」又は「収支計画」という欄があり、そこに記載された情報を基に審査されます。ここに記載する情報は、売上、売上原価、経費などの予測です。しっかりと利益のあがる計画を記載するのはもちろんですが、できるだけ客観的な根拠を持ってその裏付けを説明できるようにしていかなければなりません。
 おそらく経費部分の根拠づけはこれだけの情報化社会なので根拠を持って説明することができるでしょう。問題は売上や売上原価です。販売先や仕入先があらかじめ確定していて、その契約書や見積書などを持参できるのが理想ですが、なかなかそうもいかないのが現実です。その場合にはやはり工夫が必要になります。自分の収支の見込みについては、見込みといえども、可能な限り根拠と具体性もって説明できように準備をしましょう。

「経営者の能力」


 経営者の能力とはその事業を運営できる能力であり、その事業の経験や知識はもちろんですが、サラリーマンではなく経営者としてのマネジメントや論理的思考ができるかという能力です。またとても基礎的なことですが、一般的な常識があり信頼できる人物であるかということもみられます。創業した社長は、少人数または一人で会社を運営せざるをえません。その中には営業や接客も含まれますので、常識的な振る舞いができるかどうか、しっかりとお金を返済してくれる信頼できる人間なのか、という点も審査の対象です。

「経営者の財務状況」

 経営者の財務状況とは、経営者の資産と債務の状況といってよいです。創業してすぐに利益がでて、資金繰りも良好という会社はほとんどありません。赤字続きで、資金調達に苦労する経営者が沢山いらっしゃいます。そういった状況の中で、経営者にすでに負債があり、毎月多額の返済をしているような状態ですと、当然ですが事業の継続性が危ぶまれます。またその逆に資産に余裕があるような状態ですと、厳しい状況を乗り越えられる期待値があがりますので高評価にとらえられます。

 

 融資で満足のいく結果をえるためには、この3点ついて客観的な根拠をもって説明していくことを考慮にいれていくことがよい結果につながります。

創業融資の審査ポイント(2)