月: 2020年10月

中小企業は尖っていけ!!

平成28年度における日本の企業数は全体で385万6457社です。(平成28年経済センサス‐活動調査)

企業はその国の経済活動を担っています。

経済活動とは何でしょう?

つきつめると、それは投資と回収の連続性ではないでしょうか

100円でモノをつくって、150円で売る

その50円の部分が経済活動の成果のひと過程です。

その50円の利益を作り出すために投資をし、モノが販売されることによってその50円が回収され、そのお金を元手にまた投資をしていくわけです。

日本の企業数は全体で385万6457社ですが、そのうちの99%以上が中小企業ということになります。

私も新卒から8年ほどはそんな中小企業で働いていました。そこは大手メーカーを元請けにして、中国関連工場で電子部品の加工などをしていたのですが、私には不思議でたまらないことがありました。

「なんで、これメーカーがやらないのだろう?」と。

中小企業に比べたら、一部上場企業のメーカーのほうが豊富な資金や技術があり、人もいます。うちに仕事をくれる意味とは何なのだろう、と。

経済活動とは投資と回収の連続なのですが、投資には必ずリスクがあります。

今では人件費関連の高騰などにより、むしろ中国に中小企業が進出して仕事をするメリットは少なくなってしまいましたが、当時はそれなりにメリットがありました。
とはいえ、大手メーカーは豊富な資金力や人材はあっても、複雑なローカルルールや現地での材料調達、現地での雇用などのノウハウが蓄積していません。そんな中で大量の設備や人を投入して、工場を稼働させて、うまく運用できなければ大きな損失をこうむるわけです。そして大きな会社の場合には誰かがその損失の責任をとらなければいけないわけです。
投資とは機械設備などを導入する、人を雇う、などのお金を支払うことだけではありません。

それと同じくらいノウハウや知識の積み重ねが重要です。そしてそのノウハウや知識の積み重ねには少なからず時間が必要となります。

結局、当時私が勤めていた中小企業は、そんな大手が投資しきれない現地でのローカルルールや経営方法に投資をした結果として仕事をいただけていた部分が大きかったわけです。

中小企業が汎用性が高いものを作って安く販売するということで大企業には絶対に勝てません。

例えば中小の家具メーカーは、イケヤやニトリの家具に単純な販売価格の安さで勝つことはできないでしょう。ブランド力でも欧州のメーカーなどに勝つことはなかなか難しいかもしれません。

しかし例えば、子供が乗っても壊れない丈夫な食器棚を作るなど、家具にとって非常に大事な性能面で上回っている商品を作ることには長けていたりするのです。長く使えることによるコストパフォーマンスが大手との差となり、顧客からの信頼を集めていたりするわけです。ここにその中小企業がどこに投資を集中してきたのか、ということが如実に表れてきます。

「選択」と「集中」という言葉は、仕事をしていれば何度も聞くことがあると思いますし、どの業界や業種、企業の大小を問わずに、それぞれの立場に基づいて重要視されています。

中小企業で「選択」と「集中」の意思決定をする場合、そこで働く経営者、従業員の経験と積み重ねによる部分が大きいです。

その知見に基づき、大手企業、その他競合に勝てる分野に、「ひと」「かね」「もの」の経営資源を投入し、これだけは負けないというような市場のなかで尖った個性を出し続けることが、中小企業の存在理由になるのではないでしょうか。

自分たちの価値が何なのかを知るために、まずは可能な限り競合企業の研究をすることが大事になります。それが地理的な制約をうける場合には、どこでどのようなサービスを展開していくのか、などが重要になるでしょう。そこに他とは違う尖った価値を探してみるのが一番わかりやすいのかもしれません。

ぜひご自身の会社または事業の「尖った価値」の発見に取り組んでみてください。必ず見つけられるはずです。

中小企業の最終的な目標、目指すべき場所

失敗しづらい起業

 「せっかく起業したものの全くうまくいかず、借金で首が回らず事業を畳まざるをえなくなった」

 こんな不幸話はどなたでも社会人として仕事をしていれば何度か耳にすることがあったのではないでしょうか?

 これから事業をはじめようとする起業家の方々にとって、こういった風の噂できくような不幸話もとても他人事とはおもえないでしょう。もしも許されるなら「どうしてうまくいかなかったのか。」などということも根掘り葉掘り聞きたくなってしまうのではないでしょうか。しかし実際にはそんなことはなかなかかないません。私自身、独立にあたり色々な諸先輩方のお話を聞きました。当たり前なのですが、成功された方から色々なお話聞けるのですが、その逆となるとなかなか難しいのが現実です。

 中小企業白書によると、2005年の中小企業白書をみると、会社を設立してから1年後の存続率は70%程度です。3割程度の方が何らかの理由で1年以内に会社をたたまざるをえない状態におかれます。これを多いとみるか、少ないとみるかは人それぞれだとは思いますが、決して無視ができない数字であることは確かなのではないでしょうか。
また当然ですが、設立からの年数が経てばそれだけ存続していられる法人の数も減っていきます。

 世の中には様々な独立起業者向けの書籍やWEB上の情報があります。それは様々な職業の方からみた経験に基づくアドバイスです。ぜひ自分が起業しようと業種について必要な情報の取集につとめてみてください。

 世の中のサクセスストーリーをみていると、起業家の成功パターンは実に千差万別のように思えます。

 パナソニックの創業者松下幸之助氏のように小学校を中退せざるをえず、丁稚奉公の経験を経て自宅で家族と事業を起こす方や、スティーブ・ジョブスのように悪友ともいえるような友人と自分たちの製品で勝負するために私財を売り払って起業する方もいます。

 彼らは経営の世界のスーパースターたちなのであまり参考にならないのかもしれません。

 プロ野球の野村克也監督の「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という

 有名な言葉がありますが、良い言葉だなと今でも思い返したりしています。

 これを起業におきかえると、時の運や時代背景などで思いもよらず上手くいってしまう場合はあります。とはいえ、事業が借金して倒産してしまう場合にはちゃんと理由がある、ということではないでしょうか。

 起業での失敗を、会社を興したものの数年で債務を返済できずに回らなくなると定義づけると、会計業界で多くの起業家の方々のお手伝いをさせて頂きました私の経験では、失敗しづらい起業家の方はわりにはっきりしています。

 「業務経験」と「少ない固定費からはじめる」

 本当にごく当たり前の話なのですが、非常にシンプルです。

 つまりは起業する業務の経験をしっかりと積んでいて、かつ少ない固定費から企業を始められる状態です。

 「業務経験」

 金融機関が創業融資にあたり、「事業の業務経験」をとても重視するのですが、それにもしっかりとした理由があるわけです。

 当然、豊富な経験があるような事業のほうが成功しやすいのは誰だってわかることでしょう。

 とはいえ、起業する方のすべてが、何年も雇用の立場で修業期間を経て独立するかというとそうでもないです。

 例えば、自宅でひっそり副業としてやっていたECサイトを本格的に事業にしていきたいという方もいらっしゃりますし、普段はサラリーマンとして勤務しながら週末や夜だけ飲食店で板前の修業をさせてもらって起業された方などもいます。

 大切なことは自分の事業を試行錯誤し、ブラッシュアップさせるだけの時間をつくることです。

 「少ない固定費からはじめる」

 いよいよ創業だ、となると、どうしても欲張りになりがちになります。「綺麗な駅近オフィスを借りたい、とか最新の設備が欲しい」などなど
 ある種の気負いもありますし、場合によってはどうしても必要なことがあります。
 しかし、どうしても必要がない場合などには、創業時はできるだけ小さい固定費で済むようにしましょう。まずは自宅で済んでしまうような規模から始めるというのが理想かもしれません。とはいえ、業態によってはそんなことはできないでしょうから、できるだけ小さな固定費で事業を始められるように逆算してみてはいかがでしょうか。
 「業務経験」でも書きましたが、結局のところ自分の事業を試行錯誤してブラッシュアップする時間を作るためのものです。

 起業してすぐはなかなか思ったようにいかないものですし、自分が経営者になってはじめてわかることばかりです。とはいえ、資金にも限界があります。

 まずは小さくはいって様子をみる。起業時にはそのための計画をたてましょう。

まとめ

 ごく当たり前の話をしていまいとても恐縮してしまいますが、起業して存続させられる会社の鉄則ともいえる条件です。

 もちろん、最初から狙いがあり、その狙いがしっかりと当たり、成功していく起業家の方もいらっしゃいます。

 とはいえ、どんなに狙いを定めた計画もうまく成績があがらずに、計画を修正せざるをえなくなることがあります。そこで計画を修正できるだけの資金的な体力があれば問題ないのですが、なかなかそうもいかないのが現実です。

 そう考えると、当初の狙いが順調にいかなかった場合の他のプランニングを実行することができるほどの業務経験と、その修正をすることができるほどの資金的なゆとりを確保することができる少ない固定費から始められる業態というのはリスク分散の観点から極めて重要な課題になります。

消費税にご用心2 ~消費税の納税義務~

個人事業者や法人などで商売を始めると、「売上が1千万円を越えると、消費税を払わなければいけない。」などということ聞いたことがある方は多いと思われます。

この消費税を納めなければいけない義務が「納税義務」といい、納税義務がある事業者を、「納税義務者」といいます。
この納税義務は、原則的には個人事業主の場合には事業をはじめてから2年間、法人の場合にはおおむね2事業年度(事業年度を変更している場合にはやや異なります。)については免除されています。
しかしながら、これには例外があります。

今回は消費税の納税義務の基本的な知識と、これから事業を始めたいという事業者の方や中小企業者の方にむけて、注意しなければいけない例外について大まかに説明していきます。消費税は非常に細かい話が多いので、どういうときに消費税の納税義務に注意をしなければいけないのかをお伝えできればとおもいます。

まず原則的な取り扱いを条文でみていきましょう。

消費税法5条引用(納税義務者)

事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=363AC0000000108_20180410_430AC0000000007#87

消費税法9条(小規模事業者に係る納税義務の免除)

事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=363AC0000000108_20180410_430AC0000000007#87

条文の中で使われている重要な用語として、課税売上高と、基準期間があります。細かい規定はあるのですが、簡単に一言でまとめると以下のようなものになるとここでは思ってください。

課税売上高とは・・・消費税が課される売上高

基準期間・・・個人事業者の前々年、法人の前々事業年度(事業年度の期間を変更していたりすると変わります。)

法律の条文ですので読み取りづらいとは思われますが、要約すると、消費税法5条では消費税がかかるような売上取引をおこなった事業者は消費税の納税義務がありますと定め、消費税法9条では事業者の基準期間の課税売上高が1000万円以下の場合には免除すると定めているわけです。

つまりこの条文の規定により、個人事業者が事業をはじめたり、会社を設立した場合には、多くの場合には2年間ほどは納税義務が免除されます。

ここまで一般的にも知られているような知識ではないかと思われます。

ただし、例外があります。消費税法9条の末尾のこの部分です。


「ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」

では、その例外である、別段の定めとはどんなものがあるのでしょう。

  1. 課税事業者の選択
  2. 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例
  3. 相続があった場合の納税義務の免除の特例
  4. 合併があった場合の納税義務の免除の特例
  5. 分割等があった場合の納税義務の免除の特例
  6. 吸収分割があった場合の納税義務の免除の特例
  7. 新設法人の納税義務の免除の特例
  8. 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例
  9. 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例

こんなに沢山あります。

それぞれ簡単にではありますが、説明していきます。

1.課税事業者の選択

これは事業者が自ら選択して納税義務者となる場合をいいます。多額の仕入れや固定資産の購入や貿易取引を行う事業者は、消費税が還付される可能性が高まりますので、あえて納税義務者になることを選択する場合があります。納税義務者でない場合には、消費税は還付されません。
この規定の適用をうけた事業者は最短2年間ほど原則的には納税義務は免除されません。

またこの規定の適用をうけた期間中に、調査委対象固定資産(商品または製品などの棚卸資産以外のなどの固定資産や権利などで、一取引単価が税抜100万円以上のもの)を購入した場合には最短でも3年間ほど納税義務は免除されなくなります。

よくあるトラブル

税理士の変更や税理士との顧問契約をやめた際、課税事業者の選択をしていることを忘れていていたり、そもそも税理士とのコミュニケーション不足で知らされていなかったりして、課税事業者の選択をうけることをやめる手続きをとっておらず、消費税の納税義務の免除を受けることができなかった。

2.特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例

これは事業者の前年又はその前事業年度(前年又は前事業年度が7か月以下である場合には前々年又は前々事業年度)の開始から6ヵ月の期間の課税売上高が1千万円を超える場合に、その年または事業年度は消費税が免除をされないという規定です。

課税売上高の代わりに支払ったお給料の金額により1000万円を超えるかどうかを判定することができます。

よくあるトラブル

事業をはじめてみたら、想定以上に売上が上がっており、2年間の納税義務の免除をうけることができなくなってしまった。対象となる課税売上高を、お給料により判定することができるので、事業をはじめる段階で検証をすることで対策を講じることができる場合もあります。

3.相続があった場合の納税義務の免除の特例

 相続により事業を承継した個人事業者が、事業の承継元である故人(被相続人)の承継した事業について納税義務があることにより、その個人事業者が納税義務者となる可能性がある規定です。

4.合併があった場合の納税義務の免除の特例

 合併により事業を承継した合併法人(合併後も残る会社)が、事業の承継元である被合併法人(合併で消える会社)の承継した事業に納税義務があることにより、その合併法人が納税義務者となる可能性がある規定です。

5.分割等があった場合の納税義務の免除の特例

分割により事業を設立した新設分割子法人(分割により設立された会社)が、事業を分割した新設分割親法人(事業を分割した法人)の承継した事業に納税義務があることにより、納その新設分割子法人が税義務者となる可能性がある規定です。

6.吸収分割があった場合の納税義務の免除の特例

吸収分割により事業を承継した分割承継法人(事業を吸収した会社)が、事業の承継元である分割法人(事業を承継した会社)の承継した事業に納税義務があることにより、分割承継法人が納税義務者となる可能性がある規定です。

7.新設法人の納税義務の免除の特例

  設立から2年以内の法人で、出資金や資本金額が1千万円以上となる場合には納税義務が免除されない規定です。
  またこの規定の適用をうけた期間中に、調査委対象固定資産(商品または製品などの棚卸資産以外のなどの固定資産や権利などで、一取引単価が税抜100万円以上のもの)を購入した場合には最短でも3年間ほど納税義務は免除されなくなります。

 よくあるトラブル

 豊富な自己資金1千万円を用意して事業をはじめようとしたにも関わらず、思いもよらず消費税の納税義務をおってしまった。

8.特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

  設立から2年以内の法人で、その法人の株式の50%以上を保有する個人並びにその親族等やその個人が支配する他の法人などの基準期間相当期間(設立日や事業年度からおおよそ2年~3年前の期間)に消費税の対象となる売上取引が5億円を越える場合、その法人の納税義務は免除しないという規定。

よくあるトラブル

 新しい会社などをはじめて、2年間は納税義務が免除されるものと思っていたが、経営者の事業の経営成績がよく納税義務の免除をうけることができなくなっていた。

9.高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例

 事業者が納税義務の免除されない期間に、商品製品などの棚卸資産を含み、固定資産や権利、自分で建築した建物や構築物で、一取引または一つの成果物が1千万円を超えるものを購入した場合には、その購入した日の属する年や事業年度から3年間程度は納税義務が免除されない規定です。

よくあるトラブル

 事業の開始直後に大量の仕入れや固定資産の購入で、消費税の還付をうけたら、すぐに消費税の免除を受ける予定だったが、この規定により消費税が免除されないことが後になってわかってしまい、資金繰りが厳しくなってしまった。

まとめ

消費税の納税義務が免除されない規定を列挙していきました。

事業を始めたばかりの会社や中小企業にとって特に気をつけなければいけないのは・・・

  • 課税事業者の選択
  • 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例
  • 新設法人の納税義務の免除の特例
  • 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例
  • 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例

この4つではないでしょうか。

場合によっては思わぬ納税義務あるいは納税義務者になったほうがよかったなどということが起きかねません。ご商売の状況や会社の設立時の株も保有状況などについてしっかりと相談にのってくれる税理士を探しましょう。

消費税にご用心 ~消費税の基本的な仕組み~

個人で事業をされている個人事業者や法人として会社を経営されている経営者の皆様であれば商売をしていれば消費税を支払わなければならないということをご存じではなかろうかと思います。

消費税は平成元年4月1日より導入され、大小さまざまな改正を経て、すでに30年以上が経過しています。消費税の導入の目的は、当時から予想されていた高齢化社会にそなえた財源の確保や、所得税や法人税とは異なり取引そのものに課税するため税収の確保がしやすいというものでした。当初は3%程度でしたが、今ではそれも10%となり、今後も伸びていく予想です。

消費税は税法の中でも特異な存在です。それは税の負担者は消費者の方々ですが、実際に消費税を納める納税義務者は商売をしている事業者や会社です。

つまり消費税は、消費者からお預かりした税金を事業者や会社が納税義務者として支払うことで成り立っています。

消費税はこのような特殊な背景があるため税の世界に関りのない方々が個別に税法の条文をみてもなかなか正解にたどり着けない厄介な税法です。

消費税の対象

消費税は国内における消費に対して負担を求める税金です。会社や個人の事業者などが行う商品の販売、資産の貸付、サービスの提供などで代金を支払うことに税金を課すことで、最終的に消費者が消費税を支払う仕組みになっています。

ですので、単純にお金を貸したり、物や金銭を無償で貸したり、あるいは損害賠償金などでお金をもらったりする場合には消費税は課されません。

とはいえ、大体の経済活動は消費税の対象になるのはおわかりになると思います。このように広く消費税の対象をとらえつつ、国では消費税を課税することがそぐわないものや社会的な要請に配慮して限定的に消費税を課さない取引(非課税取引)や外国との国際的なやりとりで2重の税負担とならないように消費税を免除する取引(輸出免税取引)などにより部分的に消費税をとらない又は免除することで様々な調整をとっているのが、現状の消費税という法律の成り立ちです。

仕入税額控除

消費税を負担するのは一般消費者ですべての国民ですが、それを国に納めるのは商売をしている個人事業者や法人である会社などの事業者です。商品代金に消費税を上乗せすることで、事業者が消費税を国民の消費税を預かり、代わりに国に消費税を納めます。

とはいえ、商売のすべてに消費税を課していくだけだと、消費税は膨大に膨れ上がっていきます。

このようなことを防ぐために、仕入税額控除という仕組みを取り入れて、消費者に対する税の過大な負担をしないようにしています。(税の累積性の排除)

仕入税額控除とは、事業者が売上に課された消費税から、仕入れや経費などに課された消費税部分を控除するという仕組です。

消費税法における売上・仕入

消費税法における売上と仕入は、基本的には表裏一体の関係にあります。

①売上→資産の譲渡、貸付、役務の提供

②仕入→資産の譲受け、借り受け、役務の提供を受ける

 消費税には全額控除方式、個別対応方式および簡易課税という税額計算方式があり、それぞれによって売上仕入取引の取り扱いがかなり変わってしまいます。
 法人税や所得税、それらの利益の計算をするための会計などのように画一的な区別はせず、取引ごとの態様が非常に重要です。

 消費税という税金どういうものであるか、大きな枠組みを説明させていただきました。
 消費税は細かい論点が山積しており、かつ大きな損失を受けかねない税金です。商売をされている方にとって厄介な論点ではないかと思われます。消費税について迷うことがあればぜひ税理士にご相談ください。

消費税にご用心2~消費税の納税義務~