創業融資

自己資金が足りない!!

「創業融資の審査は難しすぎる~創業融資の審査ポイント(5)~」でも述べましたが、創業融資の審査は「創業する事業の業務経験」と「自己資金」が非常に重視されます。

今回はそのうち自己資金について説明します。

 なんで自己資金が必要なの?

自己資金の要件についてはかなり緩和された印象がありますが、従前は投資額1/3が必要だったところ、急に1/10でいいのかというと、なかなか難しいところではあります。  そもそも何故、金融機関が「自己資金」を重視するのかというと、それは創業した後の事業の財務基盤の強さをみるためという部分もあるのですが、むしろ創業者の創業に対する準備や覚悟をみているという点が強いです。つまりは、自分の事業にどれだけの資金の準備をして、どれだけ使うのか、ということです。お金は全てではないのは当然ですが、お金をしっかりと用意するのが大変だからこそ、自己資金の有無は説得力をもつわけです。

とはいえ、なかなかお金を貯めるのが難しいというのも事実です。特に、創業を考えるような方々は、手に職をつけるような技術職や専門職にお勤めの場合が多いのですが、そこでの就業環境は修行して手に職をつけながら生活していくという側面が多々あり、そこで資金を蓄えられるか、というとなかなか難しいのが現実ではないでしょうか。

自己資金が足りない場合の対策

 上記のような理由があり、金融機関のなかでの自己資金とは「創業者が自分で働いて、毎月貯蓄を積み上げてきた金額」を基本的な定義としています。ですので、自己資金の蓄え方も重要になります。金融機関は審査において、通帳の原本を確認しながら、自己資金の成り立ちを確認していきますので、いきなり現金をもってきて「これが自己資金です。」というのは「見せ金」を疑われ、自己資金としては認められづらいです。

 そこで自己資金が足りない場合の対策をいくつかお伝えします。

親族からの贈与

 近年、日本政策金融公庫では身内からの贈与も自己資金として認めてくれるようになってきています。金融機関の担当者は自己資金を通帳で確認するので、一時的にお金が増えるのは「見せ金」を疑われます。そのお金をしっかりと預金口座にいれ、贈与契約書などを交わして、お金の出所を明らかにし、間違いなく創業事業につかえるものなのだと証明する必要があります。

みなし自己資金の活用

 本来、自己資金とは手持ちの預貯金などを指しますが、創業などにあたりすでに経費の一部を支払ってしまっている場合はよくあるかと思われます。よくあるケースとしては、不動産の賃貸のための敷金保証金や、内装費、機械設備などの購入金額、事業に欠かせないような権利の取得費用などです。

 例えば、手持ちの預金が500万円で、すでに事務所などの賃貸のために敷金保証金を200万円、複合機や事務所でつかうオフィス用品に100万円ほど、その他事業に必要な権利関係のために200万円ほど支出していた場合には、手持ちの自己資金500万円に加えて、これまでに支払った合計金額500万円(200万円+100万円+200万円)がみなし自己資金として認められます。

 もちろん口頭だけで説明してもなかなか信用はえられないでしょうから、創業に必要な経費の領収書や請求書類は必ず保管しておきましょう。

現物出資

手持ちの預貯金などがない場合には、自分のもっている資産を会社に資本金として差し入れることができます。これを現物出資と言います。

 創業者の持っている車両や個人事業者時代の商品などがよくあるパターンです。

 ただし、主に以下のような注意点もあります。

 ①現物出資できるものは何でもよいわけではなく、貸借対照表にのせられるものでなくてはならない。創業者やその他の個人の役務の提供は認められない。

 ②出資額が500万円を超える場合には、弁護士、税理士、会計士などの鑑定が必要になる。

 ③出資は出資者から会社への譲渡として扱われるので、場合によっては出資者に所得税がかかる。

 現物出資額が500万円以下であれば、手続きもそれほど煩雑ではないので、自己資金に不安がある方におすすめです。

制度融資の利用

 上記の方法を検討しても自己資金が厳しいという方は、制度融資のご利用を考えるべきでしょう。制度融資は1000万円の融資までは自己資金の要件を定めていません。

 ただし、要件では自己資金がなくとも申込可能ですが、現実的には思ったような融資の条件を認めてもらうにはなかなか厳しいということを留意してください。

まとめ

 「自己資金」は緩和されたといっても金融機関にとって極めて重要な判断材料です。しかしながら、「事業の業務経験」やビジネスそのものの収益力の高さなどの魅力をつたえることができれば予定通りの融資条件を引き出すことも十分可能です。

 あるいは少し自己資金に不安がある場合には、融資の申込みを一度保留して、少しの間待つことができるのであれば、自己資金の蓄積に備えるというのも現実的な手段ではあります。

創業融資の審査は難しすぎる⁉ ~創業融資の審査ポイント(5)~

 創業融資のポイントとして、創業融資の審査ポイント(1)創業融資の審査ポイント(2)創業融資の審査ポイント(3)創業融資の審査ポイント(4)で長々と述べさせていただきました。

 人によっては創業融資の審査は自分にはちょっと厳しいのではないかなぁ、と思われた方もいらっしゃるのかもしれません。また他の人から創業融資は審査が厳しいよ、また融資は滅多に受けられないよ、みたいなお話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

 全く不安がる必要はありません。実際に創業融資でどの程度の確率で融資が実行されているかまでは明確なデータはありませんが、近い過去の支払いなどで未払いや自己破産などの大きな問題がなく、しっかりとした事業計画をお持ちで、そのための業務経験を積まれている方についてはかなり高い確率で融資は実行されます。

 それではまずそもそも金融機関が融資にあたりどのような考えに基づくのかをご説明します。

融資の基本5原則

 金融機関は、融資の審査にあたり融資の基本5原則というものを重視します。これは創業融資だけではなく、事業に対する融資全般についてです。

 融資の基本5原則とは、安全性の原則・収益性の原則・成長性の原則・流動性の原則・流動性の原則の5つからなります。

①安全性の原則

 金融機関としては融資したお金を返済してもらわなければ、その金額は貸し倒れとして融資した金融機関の損失となります。金融機関は公共的な要素が強いのですが、営利を追求する組織でもあります。株主やその組織に従事する人々に対して利益を還元することで成り立っています。債務不履行による損失はそういった利益を圧縮するので、金融機関は当然ですが、融資に対して慎重な姿勢で挑みます。

 創業融資などについては日本政策金融公庫や制度融資が行うもので、損失が生じても金融機関はその融資額については直接的な被害はありません。ただだからといっていい加減な審査をすれば信用問題に発展し、金融機関としての機能を疑われ、立場が危うくなります。
 またその融資額が保証されていたとしても、その融資の実行までの労力までは保証されませんので、いずれにせよ金融機関にとって融資の安全性は非常に重要です。

②収益性の原則

 金融機関は株主や従業員のために利益を出さなければなりません。

 そのためにすることは、「金利を引き上げる」「融資額を増やす」「貸し倒れ率を下げる」「調達コストを下げる」の4つが大きなポイントになります。

 例えば、単純に金利をあげるといっても、高い金利であれば顧客はその金融機関からの融資はさけるでしょう。そういった場合には信用力が低いような事業に対して、少し高めの金利で納得してもらう、などという企業努力をします。
 この点については、金融機関によって考え方がかなり異なります、融資額の大きさを重視するのはメガバンクなどでしょう。大きい金額の融資を実行することで、金利は低くとも信用力の高い法人への融資額の大きさで利益を確保します。

 制度融資などを積極的に行う信用金庫では信用力がやや低い創業した事業などへ手厚くサポートや貸し付けを行うことで、やや高めの金利を設定しています。

③公共性の原則

 銀行は一企業であると同時に、日本経済に対して大きな影響力を持つ企業でもあります。

 いわゆる反社会勢力や問題になっているような悪徳企業、詐欺などを行う企業にどんどんお金を融資してしまったら・・・日本全体に悪影響を及ぼします。

 そのため金融機関は一企業でありながら公共性も担保しなければならないのです。 融資審査の中で、反社会勢力とのかかわりなどが明るみに出れば、審査は通りません。金融機関は独自の調査で反社会勢力と関わりの強い業態や人物をピックアップおり、場合によっては思わぬところで審査が通らないということはありえます

④成長性の原則

 金融機関は顧客の企業が成長していけば、金利を増やさなくても、融資額が大きくなっていくことで、利息収入を増やすことができます。銀行は、金利を上げなくても、融資している金額が大きくなれば利息収入が増えるのです。顧客の成長と返済実績にともない、さらに大きな融資をおこなっていけば金融機関にとっては好循環を生み出せます。

 銀行が融資した企業に対して顧客の紹介や経営面のアドバイスをするのは「企業の 成長が銀行の利益につながる」ことを理解しているからです。

⑤流動性の原則

 流動性というのは「現金としていつでも使える資金の割合」のことです。

 金融機関にとっては長期の融資はいつでも使える資金ではなく流動性が低いというデメリットがあります。まず顧客の倒産リスクは時間がたつほど上がりますし、融資の基となる資金の調達コストにもあがりかねません。

 短期融資ではその流動性のデメリットを緩和することができます。

 この「流動性の原則」のため、企業の信用力がついてくるまでは長期の融資は審査が厳しくなり、短期の融資の方が審査に通りやすくなっています。

創業融資の審査ポイント

 それでは上記の「融資の基本5原則」をふまえた上で、金融機関は創業融資にあたり最も重視するポイントを端的にいえば、「創業する事業の業務経験」と「自己資金」です。これまで創業融資の審査ポイントとして、説明してきたポイントも極論をいってしまえば、その大部分はこの2点の審査へと帰結されるといっても過言ではありません。これを融資担当者は「創業への準備」又は「企業への準備」というような表現をします。

 自己資金について日本政策金融公庫はかつて投資額の1/3程度が要件になっていましたが現在は投資額の1/10からとっており、中小企業保証協会が保証する制度融資では自己資金の要件はありません。とはいえ、自己資金が全くない、または投資額に対して少なさすぎるとみられてしまうと、「創業への準備」又は「企業への準備」への姿勢が疑われ、良い評価にはつながりません。

 しかしながら、融資が実行される方のすべてがこれまで述べてきた審査のチェックポイントの全てを問題なく満たしているわけではりません。むしろそういった方は融資のお申込みを希望される方の全体の割合では少数といってもよいです。感覚としては、審査にあたりまったく問題ないだろうという人が2割程度、これはお手伝いしても審査は無理だろうなという方が2割、しっかりとした審査への準備をしていけば可能性があるだろうという方が残りの6割程度といった割合でしょうか。

 これまで審査のポイント述べてきた部分のどれかが弱い、欠落していたとしても、その他の部分の強みでカバーすることは可能です。

 例えば、自己資金が不足又は全くない、あるいは創業者ご自身の財務状況で負債が多額にあるなどといった場合でも、事業の業務経験がしっかりとしていてビジネスの内容に希望もてれば金融機関は前向きに検討してくれます。

 あるいはその逆に、やや事業の業務経験に不足が感じられるような場合にも、自己資金や財務状況で潤沢な資金があることを理解してもらえれば金融機関から高評価をえられる可能性が高いでしょう。

 創業融資の審査には明確な基準がないといわれています。つまり審査のポイントは各担当者が一方的な減点方式ではなく、良い部分もみてくれる加点減点方式でバランスをとっているのが実態ではないかと想定しています。ただし、融資の5大原則をみてみればわかるように、公共性の原則に触れるような絶対にダメなポイントも存在します。

 こういった基準のつかめなさが創業融資をうけるのは難しいという印象をあたえがちなのですが、決してそんなことはないので、ぜひとも積極的に活用していきましょう。

経営者の財務状況で重要なポイント ~創業融資の審査ポイント(4)~

 創業融資の審査ポイント(1)でお伝えしたとおり、創業融資の審査ポイントは「事業の収支見込み」「経営者の能力」「経営者の財務状況」の3点に大別できます。ここではそのうち「経営者の財務状況」について説明します。

 金融機関が経営者の財務状況を審査の対象にするのには概ね2つの理由があります。

 一つ目は、起業後の資金的なゆとりのためです。起業はなかなか利益が上がらずに事業の資金繰りは厳しくなります。いざというときには事業に経営者自らが資金を補填できる状態であれば、事業を継続する能力が高く評価されます。逆に債務の支払いが多いような状態ですと、事業から多くの利益が生じる必要があり、事業を継続する能力について危ぶまれます。

 二つ目は、債務や公共料金などの支払の状況を確認することで、借入した債務を期日にしっかりと返済するしっかりした人であるかを審査します。金融機関は会社の財務状況を逐一確認しているわけにはいかないので、毎月の支払いを滞りなくすることがその会社の状況を確認できる重要な手掛かりになります。支払いに毎月遅れるような人ですと、金融機関としては取引がしづらい人とみなしますし、やはり毎月しっかりと期日までに支払いをする人はしっかりとしていて事業の運営もできる人だ、とみています。

 そこで「経営者の財務状況」についての主な審査ポイント以下のとおりです。

①資産がどの程度か

 資産が多い状態のほうが、事業が軌道にのるまでの期間を乗り越えやすくなるので、事業の継続能力が高いとみなされます。不動産や金融資産などがあれば積極的に開示することで希望通りの融資条件を引き出す期待値があがります。

 またその他の審査ポイントに不安がある場合などには、同意をえられた同居親族の資産状況などを開示するのも有効に働く場合があります。

②負債がどの程度か

 これは①とは逆で、負債などの支払いが沢山ある場合には、事業を早く軌道にのせて、その利益から負債を返済しなければならないとみなされますので、多額の支払いがある場合にはマイナスの評価になりやすくなります。

 よくある負債の支払いは、過去の借入金、住宅ローン、カードローンです。

 ただし、後述しますが、毎月の支払いがしっかりと行われていて、かつ事業の資金繰りを圧迫するほどに多額とみなされなければ気にしすぎることはありません。特に住宅ローンなどは資産価値のあるものに対する負債ですので、マイナスの評価になりづらくなっています。

 また負債を隠したほうがいいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、金融機関は融資の審査にあたり、「個人信用情報」を取得します。

 「個人信用情報」とは、銀行、信用金庫、クレジットカード会社などが加盟して、個人の利用状況や支払い状況を情報として蓄積するシステムです。CICなどが代表的な機関です。

 その機関に記録されている情報については隠匿することはできません。安易に隠すことは、「この人は信用できない。」という印象を与えるだけなのでおすすめできません。

③支払いは期日通りに行われているか

 公共料金、借入金、税金などの支払いを滞りなく、支払っているかが確認されます。これは創業者が信用できる人物であるかが審査されています。

 もしも支払いに遅れがある、あるいは不払いになっているようなものがあると、先述した「個人信用情報」に記録されている可能性があります。

 個人信用情報は本人であればCICなどの機関から取得をすることができます。気になることがあれば、まずは一度、ご自分の信用情報を調べてみてみることをおすすめします。

創業融資の審査ポイント(5)

経営者の能力で重要なポイント ~創業融資の審査ポイント(3)~

 創業融資の審査ポイント(1)でお伝えしたとおり、創業融資の審査ポイントは「事業の収支見込み」「経営者の能力」「経営者の財務状況」の3点に大別できます。ここではそのうち「経営者の能力」について説明します。

  事業の業務経験

 日本政策金融公庫の創業計画では、こちらの欄で創業者の事業経験を確認しています。

日本政策金融公庫 創業計画書の経営者の略歴等

 金融機関の担当者は創業者の創業しようとする事業に関する業務経験をとても重視します。言い換えれば、創業しようとする事業に関りがある業務経験がなければシビアな評価をうけることを覚悟しなければなりません。
 金融機関としては「創業する事業の経験があるほうが事業は成功する確率が高く、未経験の事業はうまくいかない。」という経験則に基づく評価です。
 創業する事業の業務経験が長く、店長や役職でマネジメントの経験がある場合にはより前向きな評価につながるでしょう。
 とはいえ、事業の業務経験が長くなければ全くダメなのか、というと、そういうわけではなりません。


 フランチャイズ加盟店契約でのトレーニングなどはしっかりと事業経験として認められますし、場合によってはアルバイトなども事業経験として認められる場合があります。
 例えば、小売店などを創業しようとする創業者の事業経験として、IT関連の会社での事業経験が長く、創業しようとする事業の業務経験が1年程度だとします。現代はネット上での小売販売はごく一般に行われていますし、店頭販売にしても商品などのネット上での戦略的な広告は極めて重要になっています。ITに強いというのはむしろ強みとして前面に押し出すべき業務経験ということになります。
 重要なのは創業のコンセプトに合致した業務経験を積んでいるのか、ということです。


 これは創業者からすると、創業計画書作成の前段階、つまり自分の事業計画を思案している頃から考えていることが殆どなのかもしれません。つまり事業ありきではなく、自分の経験ならどんな事業ができるか、という発想になります。同じ飲食店を始めるにしても、ずっと和食のお店で厳しい修行をやってきた方と、様々な業務経験の中に飲食店経験がある方では目指すべきお店の方向は異なってしかるべきですし、それにより利益を生み出す仕組みも異なってきます。
 創業計画書作成の前の段階からしっかりと自分の過去を振りかえり、自信をもって自分の業務経験をアピールしていきましょう。

営業や接客をできるか


 創業して間もない創業者は会社のほぼすべてのことを自分でできなくてはなりません。その中には営業や接客もあります。融資審査の面談の場は、金融機関にとっては、創業者と直接対面し、営業や接客をできる人であるかを見極める唯一のチャンスといっていいです。
 業種にふさわしい雰囲気であるか、常識的な態度ができるか、会話のキャッチボールがしっかりとできるかなどがみられています。

事業への覚悟と熱意


  日本政策金融公庫の場合、事業への熱意は創業の動機などに記載された情報を基に評価します。

日本政策金融公庫 創業計画書 創業の動機欄

 3行程度の短い行数ですので、当然それだけではわかることが限られます。そのため融資担当者は、創業者の事業への熱意や経営者としての適性について、口頭での質問などで確認し評価を補足していきます。場合によっては、すこし意地悪な質問をすることもあるかもしれません。


 ここで大切なことは、事業への熱意については、事業を始めるに至った自分の気持ちを伝えることも大切ですが、その事業が事業として成立するという情熱をアピールすることを重視しましょう。
 例えば、高齢者をターゲットにした小売店などを始めるとします。その場合、「高齢者の方々が普段の買い物なので苦労している姿をみて、何かお役に立てないか。」という表現だけで熱意を訴えても足りないでしょう。金融機関はあくまでも融資先の事業が利益を生み出し、そのお金で返済をいただかなければなりません。例えば、ここに「小売店など販売する商品の仕入先が確保できていて、自分には運送会社での宅配ドライバーなどの経験があり、高齢者の方々が欲しいものを欲しい時にお届けする事業が成立可能だと判断したため事業を開始しました。」などと付け加えることができることが大切です。

 「どうしてわざわざ意欲を口頭で丁寧に説明しなければならないのだろう?」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。これまで創業計画書の他の部分で数値や自分の経験などについては細かく説明するわけですし、そもそも意欲がなければ借入までするリスクを冒して創業しないだろう、と。
 私自身もそう思っていました。
 ただ創業融資をうけて創業できたもののすぐに事業が回らなくなってしまい、倒産又は実質休眠状態に陥ってしまう会社は、決して多くはないのですが一定数あります。
 もちろんそこには様々な要因があるのですが、「あれ、どうしてこの人はこの事業を始めてしまったのだろう?」と根本的な意欲に対して疑問を感じてしまう創業者の方々がいらっしゃるのです。むしろ創業融資をうけてすぐに事業が立ちいかなくなるのはこういった精神的な部分が重要だったりします。
 金融機関もそれを理解しています。
 事業が軌道にのるまではかなり厳しいですし、多くの犠牲を払います。あまりに思うようにいかないと逃げ出したくもなるでしょう。精神論になってしまうのですが、そういった過酷な状況を乗り切るためには、やりきるという意思の強さは必要不可欠です。

 論理的思考と計数感覚


 創業者には経営者としての高度な意思決定と利益を生み出すための数字に対する感覚が求められています。自身の商業計画書の内容について、物事の因果関係をふまえ、相手に論理的な説明ができること。また創業計画書に書かれているような数字について、しっかりと根拠をもって説明していくことが重要です。ここでしっかりと好印象を与えることができれば、人物評価としては問題ないでしょう。

 誠実さ

 金融機関は融資にあたり創業者について知るべき情報を正確にかつ素早く把握していかなければなりません。そのためには素直に正しい情報開示をしていく姿勢が求められます。
 また金融機関は個人信用情報を取得し、創業者の債務状況やその支払い状況などについて確認をします。ここで集めた情報について創業者の方に隠匿するような姿勢が疑われると、誠実さという部分についてはかなり厳しい評価をうけるでしょう。

創業融資の審査ポイント(4)

事業の収支で見込みの重要ポイント ~創業融資の審査ポイント(2)~

 創業融資の審査ポイント(1)でお伝えしたとおり、創業融資の審査ポイントは「事業の収支見込み」「経営者の能力」「経営者の財務状況」の3点に大別できます。ここではそのうち「事業の収支見込み」について説明します。

 事業の収支見込みは創業計画書の「事業の見通し」又は「収支計画」に記載した情報を中心に、創業計画書全体の内容との整合性を確認しながら、事業の債務返済能力や継続力を融資担当者が判断する極めて重要なポイントです。これまで経理に触れていない創業者が悩むポイントでもあります。

 融資担当者は創業者の出した事業の収支見込について以下のような視点でチェックします。

 ①投資内容と資金調達の妥当性


 投資内容では、事業を始めるにあたり、「どういったものにいくら投資をするのか?」ということを明確にし、その投資が過大ではないか、効果的であるかを判断します。
 まず創業から設備を導入しようとする場合、事前に見積書などをとって資金使途を明らかにします。融資担当者はその上で、その設備が創業時の事業に必要なものなのか、その設備に対する投資額と効果は釣り合うものなのか、明確に利益に貢献する根拠があるのか、という点を判断します。
 例えば、機械設備などで当初からその機械の導入を前提として、メーカーとの取引が決まりつつある場合などには契約書又は見積書などこれまでにやり取りをした記録を提示できればこの条件をクリアできる可能性は高まるでしょう。
 逆に営業所や事務所の内装工事などで利益との貢献度のわかりづらいものについては何故必要かの根拠を融資担当者が納得できるように説明するように注意が必要になります。
 
 資金調達では、創業時に必要な資金をどこから調達するのかという点が判断されます。
 自己資金や金融機関以外からの借入について間違いなく用意ができるのかという点が重視されます。自己資金をどのように貯蓄したのかは、通帳原本のお金の動きで確認されます。直前に突然に数百万が口座に振り込まれている場合などには、「見せ金」と判断されてしまうと自己資金とは認められません。親兄弟からもらったお金などは自己資金として扱われますが、「見せ金」と判断されないためにも、念のために贈与契約書などを用意しておきましょう。

 ②予測収支の実現可能性


 創業計画書の「事業の見通し」又は「収支計画」に記載された予測収支が本当に事業として継続していけるものなのかという点が確認されます。
 日本政策金融公庫の創業計画書には「事業の見通し」という欄はこのようになっています。

 ここに記載された数字が単なる希望的予測で根拠ないものですと、融資審査は厳しいものになるでしょうし、実際の事業運営もすぐに立ち行かなくなる可能性が高いです。
 金融機関が融資した金額の返済の原資は事業から生じる利益です。そのため当然ですが利益がでない、またはその見込みが薄いと判断した計画に融資はできません。そのためにはまず創業計画書に記載する数字の裏付けとなるそもそも「事業が利益み出す仕組み」を固めておかなければなりません。
「事業が利益み出す仕組み」とは、「事業をする場所、商材、その仕入方法、販売先、どれだけの経費が必要になり、最終的にいくら儲けるのか。」ということです。
 それを裏付けるのが。「事業の見通し」又は「収支計画」、「資金繰り」、「財務的根拠」となります。「資金繰り」は必要書類とは別に提出する収支予定表で、「財務的根拠」は創業計画書に別欄がもうけられてそこの記載した情報により判断されますが、収支計画と矛盾があるようなものではいけません。例えば、事業開始時に多額の仕入れや経費が発生するはずなのに、この財務的基盤でどうやって乗り越えるのか、収支計画に記載された内容を実現するにはこの資金繰りではどうやっても資金がショートするのではないか、などです。

 また創業計画書の「事業の見通し」又は「収支計画」に記載した数字はより具体的であると高評価につながります。
 例えば、飲食店を開業する際に、売上高を「客単価4000円で20席あって、一日一回転する。」と予測でつくった場合、融資担当者からは「1回転する根拠を教えてください。」と聞かれる可能性があります。
 また製造業などで機械設備導入のために融資をうける際には、その機械で作った製品を誰が買うのか融資担当者にとっては気になるところです。
 担当者にとって融資を実行してすぐに返済が滞るというのは最も避けたい不安な部分です。その不安を解消するためにも、飲食店など不特定多数のお客様を相手にするような事業については各種統計資料(国勢調査、各市町村が行う人口調査、全国物価統計調査、小売物価統計調査等)を活用し、裏付けのある数字を記載しましょう。製造業などで、いわゆるBtoB、対法人同士の事業の場合には製品の売上先との取引がはじまる根拠については説明できるように準備をしていきましょう。


 最後に融資の返済の原資となる利益は、償却前利益といいます。償却前利益とは、税引き後利益+減価償却費により算出することができます。融資が実行されるためには、この金額が融資額の年間の返済額よりも大きい必要があります。

③資金繰りとの整合性


 ①にも記載しましたが、「事業が利益み出す仕組み」の根拠として、「事業の見通し」又は「収支計画」、「資金繰り」、「財務的根拠」が問われます。「資金繰り」は必要書類とは別に提出する収支予定表で説明することになります。ここで重要なのは投下資金の回収のサイクルです。例えば卸売業などで、棚卸資産を大量に仕入れる場合など、支払サイトに無理がないように条件を整える必要があります。基本的にお金を先に支払って、販売して初めて資金が回収されます。その回収までの期間が長ければ、それだけ多くの資金的なゆとりがなければ事業は成り立ちません。事業の資金繰りが収支や財務的根拠から不自然なものでないことが必要です。

 ④事業の不調時の継続性


 これまでの①~③の条件がクリアできても、実際に創業してみたら、なかなか売上があがらない、思ったよりも安値で売らなければならない、ということはよくあることです。実際、最初から順調に業績を上げられる経営者様はごく僅かといって差し支えないでしょう。こんな場合には、例えば配偶者がマンション経営で不動産所得を得ている又は年金収入があるなどがあれば積極的に開示しておくべきです。

創業融資の審査ポイント(3)

創業融資の審査ポイント(1)

 ここでは創業融資の金融機関が審査するポイントについて総則的なお話をしていきます。
 創業融資は通常の事業に対する融資に比べて、かなり優遇されているといえます。

 まず事業が稼働し始めた実績ではなく、事業の将来性や経営者の資質が審査の基準になります。さらに金融機関もそれに前向きな姿勢で対応してくれます。日本政策金融公庫のように創業者を援助することを目的のひとつとしている政策金融公庫があり、中小企業保証協会は通常の融資の保証を融資額の80%としているところ創業融資については100%保証することで金融機関の積極的に融資を促してくれているのです。
 こういった理由では創業融資は特殊といえますが、やはりあくまでも融資なので創業融資のポイントを知るにあたり、そもそも融資ではどのような点が審査の対象になるのかを簡単に説明していきます。

①通常の融資の評価


 金融機関は融資先を財務内容等に基づき、信用リスクの程度に応じて10段階~15段階程度に区分しており、これが「信用格付け」と呼ばれています。
 ではこの信用格付けがどのように決まるのかというと、金融機関による定量評価と定性評価というものになります。
 定量評価とは決算書の内容のみで銀行が独自の財務スコアリングモデル(決算書採点基準)で評価する手法であり、客観的かつ自動的に行われます。これが格付けの評価の70%から90%を占めると言われます。
 残りの部分を定性評価が占めます。定性評価とは経営者の人柄や能力、その事業の属する業界やその先行きなどを対象としています。定量評価に比べると不確定な部分がおおく、客観的な評価が難しいのがおわかりなるかと推測されます。
 これに加えて、不良債権の有無などの実態調査などにより格付けの基準となる採点を調整しています。
 つまり通常の融資はほとんどの部分が確実な客観的な評価に委ねられるのです。創業融資はこの部分がかなり緩和されてはいますが、客観的な評価というものが極めて重要であることはおわかりになるかと思われます。

②創業融資の審査ポイント

 創業融資の審査ポイントは「事業の収支見込み」「経営者の能力」「経営者の財務状況」の3点にまとめることができます。


「事業の収支見込み」


 事業の収支見込みとは、創業した事業が利益をしっかりとあげて、継続し、融資金を返済できる見込みのことです。創業融資では日本政策金融公庫及び制度融資では創業計画書の中で、「事業の見通し」又は「収支計画」という欄があり、そこに記載された情報を基に審査されます。ここに記載する情報は、売上、売上原価、経費などの予測です。しっかりと利益のあがる計画を記載するのはもちろんですが、できるだけ客観的な根拠を持ってその裏付けを説明できるようにしていかなければなりません。
 おそらく経費部分の根拠づけはこれだけの情報化社会なので根拠を持って説明することができるでしょう。問題は売上や売上原価です。販売先や仕入先があらかじめ確定していて、その契約書や見積書などを持参できるのが理想ですが、なかなかそうもいかないのが現実です。その場合にはやはり工夫が必要になります。自分の収支の見込みについては、見込みといえども、可能な限り根拠と具体性もって説明できように準備をしましょう。

「経営者の能力」


 経営者の能力とはその事業を運営できる能力であり、その事業の経験や知識はもちろんですが、サラリーマンではなく経営者としてのマネジメントや論理的思考ができるかという能力です。またとても基礎的なことですが、一般的な常識があり信頼できる人物であるかということもみられます。創業した社長は、少人数または一人で会社を運営せざるをえません。その中には営業や接客も含まれますので、常識的な振る舞いができるかどうか、しっかりとお金を返済してくれる信頼できる人間なのか、という点も審査の対象です。

「経営者の財務状況」

 経営者の財務状況とは、経営者の資産と債務の状況といってよいです。創業してすぐに利益がでて、資金繰りも良好という会社はほとんどありません。赤字続きで、資金調達に苦労する経営者が沢山いらっしゃいます。そういった状況の中で、経営者にすでに負債があり、毎月多額の返済をしているような状態ですと、当然ですが事業の継続性が危ぶまれます。またその逆に資産に余裕があるような状態ですと、厳しい状況を乗り越えられる期待値があがりますので高評価にとらえられます。

 

 融資で満足のいく結果をえるためには、この3点ついて客観的な根拠をもって説明していくことを考慮にいれていくことがよい結果につながります。

創業融資の審査ポイント(2)

創業融資の手続きのながれ2 ~制度融資編~

制度融資で創業融資をうける場合の手続きの流れについてご説明します。
制度融資は中小企業保証協会が融資の保証を行うため、日本政策金融公庫などと比較すると、当事者が多くなることにより、手続きに時間がかかる傾向にあります。

ステップ1 金融機関の決定
制度融資の場合には、中小企業保証協会は保証を行うが、融資を行うのはあくまでも銀行などの金融機関であるため、その融資申請に窓口となる金融機関を決める必要があります。
原則的には金融機関であればメガバンクでも地方銀行でも信用金庫でも選べるのですが、メガバンクの場合には対象としている会社の売上規模が高く、実質的に殆どの創業者の方がメガバンクで融資を受けられるのはなかなか難しいでしょう。また地方銀行や信用金庫などのほうが、その後の追加融資の際などにも面倒見がよく、また創業者への融資も積極的です。まずは地方銀行や信用金庫などとのお付き合いを始めてみることをお勧めします。

ステップ2 相談
選択した金融機関に制度融資を受けたい旨を相談しておきましょう。
日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合と同じですが、窓口での相談の際には登記簿謄本など、事業の概要がわかるものを持参すると、スピーディーに話がすすみます。

ステップ3 申込
作成した申込書類を金融機関か保証協会に提出します。

ステップ4審査
提出した書類を管轄の中小企業保証協会が審査します。
中小企業保証協会の担当が融資の申込みをした会社に出向き、会社が実態などを確認します。ここで保証がOKになれば中小企業保証協会から融資を申し込んだ金融機関に信用保証書が送付され、これを基に金融機関では改めて融資の審査を行、融資の可否を決めます。
中小企業保証協会が融資先に出向く場合、いくつか質問がされますが、ここでどのような質問がされたかはよく覚えておくようにしましょう。その後、万が一、融資の減額や否決がされた場合にはその質問の内容から推測することができることがあります。

ステップ5 結果通知
面談終了後、1週間から10日で結果の通知がきます。殆どの場合はここで通知された金額が融資額となります。さらに追加書類が必要な場合にはこの期間内に連絡がきます。
融資額の減額または融資が否決されることもありますが、ここで重要なことは今後の融資のために融資担当者に減額又は否決の理由を尋ねておくことです。
その問題が改善されれば次の融資はより期待通りの結果となる可能性が高まります。

ステップ6 融資実行
決定された条件に基づいて融資額が銀行に入金されます。
殆どの場合には、実行前に金融機関から融資の可否や金額について連絡がきます。
ここで融資が減額または否決された場合には、今後の融資のために必ずその理由について尋ねましょう。

日本政策金融公庫で融資をうける場合の手続きは【創業融資の手続きのながれ1】をご覧ください。

創業融資の手続きのながれ1 ~日本政策金融公庫編~

日本政策金融公庫編で創業融資をうける場合の手続きの流れについてご説明します。

ステップ1 相談
最寄りの日本政策金融公庫の支店への相談。
登記簿謄本など、事業の概要がわかるものを持参すると、スピーディに話がすすみます。
借入れ申込書や創業計画書などを手渡されますが、こちらはインターネットでもダウンロードできます。
税理士や公認会計士に相談すると、この手続きが省略されることもあります。

ステップ2 申込
借入れ申込書、企業概況書、創業計画書を含むその他の必要書類を持参してご自身の事務所などの所在地を管轄する日本政策金融公庫の窓口に提出します。郵送またはインターネットでも受け付けています。

ステップ3 書類審査及び面談
提出された書類が内部で審査され、しばらくすると面談の予定日の連絡がきます。
提出された書類に基づく面談ですが、追加書類が求められることはしばしばありますので、追加が予想される書類は事前に準備しておくか、すぐに取得できるようにしておきましょう。

ステップ4 結果通知
面談終了後、1週間から10日で結果の通知がきます。殆どの場合はここで通知された金額が融資額となります。さらに追加書類が必要な場合にはこの期間内に連絡がきます。
融資額の減額または融資が否決されることもありますが、ここで重要なことは今後の融資のために融資担当者に減額又は否決の理由を尋ねておくことです。
その問題が改善されれば次の融資はより期待通りの結果となる可能性が高まります。

ステップ5 融資実行
決定された条件に基づいて融資額が銀行に入金されます。

創業融資の手続きのながれ2

金融機関による創業融資のちがい

※2020年9月14日時点の情報を基に作成した記事です。

創業時の融資には日本政策金融公庫の行う「新創業融資」と各都道府県や自治体の制度融資の一部の「創業融資」があります。
この2つの融資の諸条件は変化していってはいるのですが、主な相違と利用上の注意点についてまとめていきます。
各融資の概要などについてはこちらのリンクでご確認ください。

主な相違点

①申込み期間
日本政策金融公庫「新創業融資」→開業又は事業開始後税務申告を2期終えるまで
都制度融資「創業」→「開業または事業開始後5年まで」

②雇用創出等の要件
日本政策金融公庫「新創業融資」→あり
都制度融資「創業」→なし
雇用創出とは事業で人を雇うことではありますが、アルバイトやパートを雇う場合などでも要件を満たし、また創業して直後でなくとも近い将来に雇うという場合には問題ありません。

③融資限度額(運転資金)
日本政策金融公庫「新創業融資」→1500万円まで
都制度融資「創業」→・開業前 自己資金に1000万円を加えた額まで(2500万円が限度)
         ・開業後 2500万円まで

④金利
金利はご融資を受ける方や条件によって微妙に変化するので一概にはいえないのですが、
注意すべきは制度融資の場合には信用保証協会への使用保証料が発生するという点です。
もしも金融公庫と制度融資で条件を比較するのであれば、信用保証料の存在も忘れてはいけません。

⑤自己資金要件
日本政策金融公庫「新創業融資」→創業資金の1/10
都制度融資「創業」→なし

まとめ

この相違点だけをみてしまうと、日本政策金融公庫「新創業融資」の方が融資に関する諸条件が厳しいように思われますが、公庫と制度融資では審査基準が異なり、それにより融資の条件も変わってきてしまうので、実際に融資をうけてみないとわからないというのが現場を経験しての率直な感想ではあります。

創業融資を積極的に活用しよう~創業融資のススメ4~

創業される方の80%程度の方は創業時に自己資金をご用意しております。創業にあたって借入などをせずに自己資金だけですませることが理想、と思われている方が多いのではないでしょうか?
しかし「会社のサバイバル能力を高めよう~創造業のススメ3~」でも記載したとおり、日本金融公庫などの創業融資を活用した企業の生存率は平均的な企業の生存率に比べてかなり高い傾向にあります。
理由はいくつかありますが、そのひとつとして自己資金のみで開業することのリスクの高さがあります。
ここでは自己資金のみで開業することのリスクをあげていきます。

①創業後のしばらくの支出は凄い
創業後はまず設備や営業所などの賃貸費用など初期投資などで多額のお金がでていきます。さらに殆どの場合、想定外の支出はつきものです。さらに多くの場合は、創業後すぐには売上があがらず、固定費部分と社長自身の生活費などで赤字が続くでしょう。
売上があがったとしても、入金までは短くても一か月、手形などで支払われた場合にはさらに数か月先ということもしばしばあります。
創業後しばらくのお金の減り方は凄まじいものがあり、最悪の場合には会社の運営に支障をきたしかねないのです。

②創業時は融資を受けやすい
創業時の融資は創業計画や創業者の財務的な健全性などにより評価されます。ただ一度、創業してしまうと、会社の実績などにより審査が行われます。赤字だからお金を借りようとはなかなかいかないのが現実です。金融機関は赤字や資金繰りが厳しい企業への融資は後ろ向きです。
創業計画書どおりに企業が運営できないことも予測しつつ、創業融資などにより資金的なゆとりを持っておくことをぜひおすすめします。

③資金調達のノウハウ
会社を運営していると、大量の資金が必要な場面が必ずあります。設備投資をおこなう、あるいは高額な在庫を抱えなくてはならない場面などです。
こういった場合に資金調達のノウハウをもつことは非常に有用です。
このノウハウがないと、必要になった時には借入が難しい状態であったり、必要なタイミングで資金を用意できなどの弊害が生じるでしょう。
このような問題が生じないためにも、創業融資をうけ、金融機関との付き合いを積み重ねていくことをおすすめしております。