会社の税金

棚卸資産の評価について

 今回は、保有している棚卸資産の評価について確認していきたいと思います。

棚卸資産とは、完成している商品や製造途中の製品や製品の原材料、事務用消耗品である貯蔵品などのことをいいます。

前回の記事では、棚卸資産の評価方法としては7種類あり、その7種類のうちから、各企業が自分の会社に合った方法で棚卸資産の評価をするということを確認しました。

 棚卸資産は、基本的に取得価格を基準として各企業が選択した評価方法によって評価額を算定します。この時に、取得価格と評価時点での棚卸資産の価格があまりにも異なっていた場合、適正な資産額を把握することができません。

例えば、10年前に原材料としてパソコンを購入したとします。そのパソコンを現在でも原材料として保有している場合、現在では10年前のパソコンに10万円の価値はなくなってしまっている場合が多いですよね。

 このように、購入したときの価格と評価する時点での価格に大きな差が生じている場合に購入時の取得価格のままで棚卸資産として計上してしまうと、企業の正確な資産の把握ができなくなってしまいます。

そこで、棚卸資産の取得価格が評価時点での価格より小さい場合と棚卸資産の取得価格が評価時点での価格より大きい場合に分けて考えていきます。

 まず、棚卸資産の取得価格が評価時点での価格より小さい場合についてです。

10万円で購入した材料が、評価時点で15万円になっていたというような場合ですが、このようなときは基本的には評価益は計上しません。会計上、棚卸資産に評価益がある場合は、その商品を販売したときに利益が確定するため、評価時点での益は計上しないということになっています。

 次に、棚卸資産の取得価格が評価時点での価格より大きい場合についてです。

10万円で購入した材料が、評価時点で2万円になってしまったというような場合ですね。

保有している棚卸資産の時価が評価額よりも大きく下回っていた場合、実際の価格は低いにもかかわらず、貸借対照表上では取得価格をもとに算定された評価額が計上されてしまいます。これでは、企業の正確な財政状態を把握できなくなってしまいます。そのよう場合には、税務上、棚卸資産の評価損を計上することが認められています。

しかし、取得価格と評価時点での価格に評価損がでればすべて損金として計上できるというわけではなく、評価損の扱いについては法人税法で定められています。

税法上、棚卸資産の評価損の計上が認められているのは主に次の3つです。

災害により著しく損傷したこと

→台風や地震などの自然災害により商品に損害がでてしまったときなどに認められます。

著しく陳腐化したこと

→いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであることや商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったことなどが考えられます。〔法人税法基本通達9-1-4

その他準ずる事実が発生した場合

→例えば、破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったことなどが挙げられます。〔法人税法基本通達9-1-5

法人税法第33条第2項

このように①~③の事実に該当するときは、税務上、棚卸資産の評価損を損金として計上できます。

 しかし、棚卸資産の時価が単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によって低下したなどの理由では損金に計上できないので注意が必要です。

商品の型式が古くなった場合や新性能の商品が発売されたことにより旧性能の商品の販売価格が下がってしまったなど場合は評価損の計上が認められます。

一方で、過剰に生産したため販売価格が下がったり、他社との値下げ競争のため商品の価格が下がったりしたような場合には評価損の計上は認められません。

 つまり、棚卸資産の評価損を計上するためには、価格がいくら下がったのかよりもなぜ価格を下げたのかという理由が重要となってきます。評価損を計上した場合には、その値下げの合理的な理由を証明できるように書類等を保存しておいた方が良いでしょう。

 以上のように、棚卸資産の評価益については原則計上しない、評価損については税法上認められている部分については評価損を計上できるということがわかりました。

長期間保有している材料や売れ残っている製品などは取得価格と評価時点での価格に差がある場合も多いかと思われます。そんな時は、税法上で認められる範囲で評価損を計上し、適切な棚卸資産の価格を把握するようにしましょう。

合同会社と株式会社の違い

個人事業主として営んでいる事業を法人化して色々な税制優遇を受けたいという場合や法人を設立したいけれど費用面が心配だという場合に、【合同会社】を設立するという方法があります。

正確には、法人には「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」の4種類がありどの種類で設立するか選ぶことができます。

今回はその中でも、設立されることが多い「合同会社」と「株式会社」を比較してみようと思います。

合同会社とは、アメリカではLLCと言われている会社の形態で、日本では2006年から制定されました。代表的な企業名としては、Appleやアマゾン、グーグルなどの世界的な大企業が日本では合同会社の形態で日本法人を設立しています。

今回は、最近、設立が増えてきている合同会社と一般的な形態である株式会社の共通点や相違点、それぞれのメリットやデメリットを見ていこうと思います。

合同会社と株式会社の共通点

①決算・申告・納付について

合同会社も株式会社も年に1回企業の利益を計算し、確定申告書を作成、利益に応じて法人税・地方税・消費税等を納付する義務が生じます。

決算書や申告書の書式や作成方法、提出や納付の期限については合同会社も株式会社も違いはありません。

また、決算月を定款で自由に定めることができるというのも共通です。

(ただし、定款で定めた決算月は原則として変更はできません)

②法人の税制優遇について

基本的に合同会社であっても株式会社であっても法人であることには変わりないため、受けられる税制優遇に違いはありません。法人化の大きなメリットである役員報酬の費用計上や赤字を繰り越せるなどの優遇制度は合同会社でも株式会社でも適用をうけることができます。

③社会保障への加入義務

法人の場合は役員が一人の会社であっても社会保険の加入が義務付けられていますが、こちらも合同会社であっても株式会社であっても違いはありません。

役員一人のみで合同会社を設立した場合でも、社会保険へは加入しなければなりません。

合同会社と株式会社の相違点

①会社の商号と代表社員の名称

合同会社と株式会社の大きな違いの一つが会社の商号と代表者の名称です。

合同会社の場合は「〇〇合同会社」、株式会社の場合は「☆☆株式会社」という商号になり合同会社が株式会社の商号を付けることはできません。

また、社長の名称も合同会社は「代表・社長」等、株式会社は「代表取締役」という名称を主に使用します。合同会社は社長の名称について比較的自由に決めることができます。

②合同会社の方が設立費用を抑えられる

設立に係る費用は、法人を設立する際の大きなポイントとなると思います。

合同会社も株式会社もどちらも法人の設立なのですが、設立に必要な費用が違ってきます。

合同会社の設立には、登録免許税6万円のみが必要となります。

一方、株式会社は公証人手数料(定款の認証費用)5万円と登録免許税15万円で合計20万円ほどかかります。

合同会社も株式会社も定款を作成して会社の基本的なルールを定める(業務内容や会計期間、会社の所在地等)必要がありますが、株式会社はこの定款を公証役場に提出し認証をうけなければなりません。この公証役場での認証には、3~5万円ほどかかります(資本金等の額によって変わってきます)。

合同会社の場合は、定款を作成する必要はありますが、公証役場での認証を受ける必要がないため、公証人手数料がかかりません。

このように、合同会社と株式会社では設立に必要な費用が違ってきます。法人を設立したいけれど、費用はあまりかけたくないという場合は合同会社の設立を検討することをおすすめします。

(会社の設立登記を社労士へ依頼する場合や設立のときに税理士に届出の作成を依頼する場合などは、登録免許税や公証人手数料以外にも士業ヘの報酬がかかってきます)

③利益配分や会社の意思決定について

会社に利益が出たときに、その利益の一部を内部留保として会社に残し、残りの利益は出資者へ還元するという場合に合同会社と株式会社では分配の割合が違ってきます。

まず、株式会社は会社の株の持分に応じて利益を還元します。株式会社の場合は、分配の割合が持ち株に応じてということになるので、利益の分配を自由に決めるということはできません。

一方で合同会社の場合は、出資の割合に応じた利益配分をする必要はなく、社長もしくは会社の代表者が利益の分配割合を自由に決めることができます。出資金を出している人が複数いる場合でも、還元しようとするすべての利益を代表者一人へ分配することも可能です。

また、株式会社は会社の重要事項(役員報酬の変更や会計期間の変更等)を決めるときに一定数の株主の賛成が必要となります。しかし、合同会社の場合は会社の重要事項を決めるときでも一定の株主の賛成を必要とすることがなく、会社の意思決定が行いやすくなります。

合同会社の特徴

 ここまで、合資会社と株式会社の共通点と相違点を見てきましたが、合同会社のメリットをまとめると、設立費用を安く抑えつつも法人の税制優遇を受けることができる、利益配分や会社の意思決定を代表者1人で行いやすいという点が挙げられます。

 一方、合同会社の株は上場することができないため、将来、会社の株式を上場したい場合は株式会社を設立した方が良いでしょう。

株式会社の特徴

株式会社の特徴は、社会的な信用が高く大規模な事業や融資が受けやすく、また資金調達として株式の上場が可能という点です。

一方で、株式会社は合同会社と比べると設立費用がかかり、作成する書類や事務手続きも煩雑になるという点も考えられます。

今回は合同会社と株式会社の共通点や相違点、それぞれのメリット・デメリットを見てきました。合同会社と株式会社はそれぞれにメリット・デメリットがあり、どちらで設立した方が良いかは、会社の規模や事業内容等で変わってきます。

合同会社について興味がある、自分の事業は税務会計上では合同会社か株式会社どちらが良いかアドバイスを聞いてみたいという場合には、会計事務所や税理士事務所に相談をすることをおすすめします。

(今回の記事は2022年4月時点の情報をもとに作成をしております。)

法人成りのメリット・デメリット

これから事業を始めようと思っている方、あるいは事業を営んでいる方で個人事業主として営んでいくか、法人化すべきか悩んでいる方は多いのではないでしょうか?

個人事業主としてか法人として事業をしていくかどちらが有利なのかとても気になりますよね。

もちろん、個人事業主と法人でどちらが有利なのかは事業の規模や売上、事業を営んでいる本人の状況によって変わってきますが、今回は、法人成りのメリット・デメリットについてみていきたいと思います。

法人成りのメリット

①役員報酬を経費として費用計上できる

社長もしくは個人事業主が会社から給与を受け取っている場合の会計処理が法人と個人事業主では異なります。

個人事業主であっても、毎月事業のお金から給与(生活費)として引出している場合も多いかと思いますが、その生活費として引出した現金は経費として計上することができません。

一方、法人から社長が役員報酬として毎月一定額を支給されていた場合、役員報酬として支払った金額を費用として計上することができます。

個人事業主も法人も「収入-費用=所得」という考え方は同じなので、所得が少ないほど納める税額も少なくなります。そして、法人は役員報酬を費用の金額に加えることができます。

ただし、役員報酬というのは、規制が多く、毎期の会計期間開始の日から3ヶ月以内でないと役員報酬の金額を変更することはできません。毎期の会計期間開始の日から3カ月以内に決めた報酬の額を少なくとも1年間は継続して支給することになります。毎月の利益に応じて役員報酬を変更することはできません。そして、役員に毎月の金額にプラスして賞与を支給したい場合は会計期間開始の日から3カ月以内に届出を提出する必要があります。【役員報酬は変えられない!!

また、毎期の会計期間開始の日から3カ月以内に決めた役員報酬よりも多くの金額を支給しても、決めた金額を超える部分については費用として計上することはできません。

このように色々な規制はありますが、役員報酬は金額が大きくなることも多く、法人成りすることによって役員報酬を費用として計上することができれば、大きな節税効果が期待できます。

②役員報酬と個人事業主の事業所得の所得控除額の違い

先ほど役員報酬と個人事業主への給与では、費用計上できるかどうかに違いがあると言いましたが、役員報酬として会社から報酬をもらう場合と個人事業主が事業の利益を得る場合では、所得控除される金額も違ってきます。

(所得控除とは、所得税の計算をするときに、所得から一定の金額を差引くことをいい、所得控除が多くなるほど、所得金額が減額されるため節税効果が高いといえます。)

法人が役員報酬を支給すると役員(社長)は最大で195万円の所得控除を受けることができます。

(給与所得控除は、支給される給与等の額によって異なりますので、ご注意ください)

一方で、個人事業主の所得(事業の利益)の場合は、青色申告特別控除の65万円までの所得控除しか認められていません。

事業が成長しており、利益も充分に出ている企業の場合には、法人として会社を設立して、役員報酬として社長へ給与を支給し、役員報酬として支給した費用を経費として計上しつつ、役員報酬として給与を得た社長自身は、給与所得控除を有効に活用し所得の金額を抑えるという節税も効果が高いと考えられます。

③事業の赤字を繰り越しすることができる

事業の利益が赤字だった場合の赤字の繰越について個人事業主と法人とで考え方が大きく違ってきます。

法人は利益が赤字になった場合、その赤字を10年間繰り越すことができます。

1年目で100万円の赤字が出た場合、1年目の法人税がかからないということに加えて、2年目に赤字を繰り越すことができます。そのため、2年目に100万円の利益があった場合でも、1年目の赤字と相殺して利益が0円ということになります。また、赤字を繰り越せる期間は10年間で、利益が出た場合は過去の赤字の金額から相殺されます。

一方、個人事業主の場合は、事業所得と給与所得等や不動産所得等の所得を合算して所得金額を計算し、所得税の金額を算出しますが、個人事業主の合計所得金額が赤字もしくは、事業所得は赤字が出ているなどの場合でも、赤字(損失)を翌年に繰り越すことはできません。

①の役員報酬の費用計上と合わせてこちらも、法人成りによって大きな節税効果が期待できます。

④社会的な信用度が上がる

①・②は税金の面で大きなメリットを見ていきました。法人成りすることで会計的なメリットも多いですが、社会的な信用度が上がるという面もあります。

法人成りすることによって、法人名義のクレジットカードや銀行口座を作ることができるようになります。また、融資が受けやすくなったり、仕事を受注するときも法人の方がしっかりとした印象になったりします。

このように、法人成りすることで社会的な信用が上がり、より事業を拡大していきたいという場合には有利だと考えられます。

法人成りのデメリット

①法人の設立には費用が掛かる

個人事業主として事業を開始する場合には、基本的に税務署に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出するだけです。

しかし、法人を設立する場合には、登記をしたり定款を作成して認証を受けたりと様々な作業が発生し、それにともなって費用もかかってきます。登記費用だけで、おおよそで20~30万円ほどで、さらに税理士や司法書士などへ依頼した場合はそれらの士業への報酬も追加でかかります。

事業を始めたばかりで資金的にあまり余裕がないという場合には、この設立費用も負担が大きくなるでしょう。

②法人住民税の均等割がかかるようになる

法人の場合は、住民税均等割として毎年、7万円前後(県・市区町村によって金額は異なります)を納付する必要があります。

この法人住民税の均等割は、事業の利益が赤字であっても納付しなければなりません。

③社会保険料の納付義務がある

個人事業主の場合は、従業員が5名以下の場合は会社として社会保険料を納付する義務はなく、その場合は従業員がそれぞれに個人年金や国民健康保険を支払います。

一方、法人は社員が役員の社長1人だけであった場合でも会社が社会保険料を納付する義務を負います。納付する社会保険料は、従業員と会社で半分ずつ負担することになっています。

また、一般的に個人で納付する国民健康保険と個人年金の金額よりも会社で納付する従業員一人当たりの社会保険の方が納付金額が高くなります。

このように、法人成りすることによって、役員や従業員の社会保険料の半分を会社で負担する必要があるため、こちらも法人成りのデメリットと言えるでしょう。

(会社が負担した分の社会保険料は、経費として費用計上することができます。)

④様々な手続や申請があり事務作業が煩雑になる

これは、③とも関係しているのですが、会社が社会保険を納付する場合は、届出なども必要となりますし、様々なメリットを受けられるようになる一方で、設立の登記や定款の作成、議事録の作成など、提出する届出や書類が多くなってきます。また、個人事業主以上に正確な会計処理や帳簿の作成なども必要になってくるため、1人だけで事業をしている場合はこれらの事務負担はかなり負担になってくると考えられます。

個人事業と法人の相違点(おまけ)

法人成りのメリット・デメリットをみてきましたが、最後に個人事業と法人の会計期間に違いを見ていきたいと思います。

まず、個人事業主の会計期間は1月1日~12月31日までで、申告・納付の期限は会計期間の翌年3月15日までです。個人事業主は、事業の利益を所得税として申告するので、一般的な確定申告の期限が申告・納付の期限となります。

一方で法人の会計期間は、任意で決めることができます。会社の設立をするときに社長が自由に会計期間を決めることができます。ただし、設立したときに決めた会計期間は原則として毎期継続して適用しなくてはいけません。会計期間を変更する場合は届出が必要となります。

また、法人の申告・納付の期限は決算日から2ヶ月以内と決められています。

4月末が決算日だった場合、2か月後の6月末が申告期限となります。

法人の決算が12月31日だった場合は、2月末が申告の期限となります。個人の所得税のように3月15日までの期限ではないのでご注意ください。

まとめ

今回は、法人成りのメリット・デメリットについて見ていきました。

はじめに述べたように、それぞれの事業の状況によって法人成りするべきかの判断はことなりますが、今回の記事がその判断の参考になれば幸いです。

また、法人成りの判定や実際に法人成りをしていく手続き、法人としての会計処理や申告などはとても複雑で、判断に迷うことも多いです。

特に、事業を始めたばかりの場合は、金銭的にも事務作業的にも法人成りが大きな負担となることも多いです。ある程度、事業が落ち着いてきた、もしくは売上が安定してきた段階で法人成りするのも良いと思います。

事業を始めようとしている、事業を始めているあるいは事業が安定してきて法人成りを検討しているという場合には、事前に会計事務所などで相談をしてみてはいかがでしょうか?

法人の損害賠償金の取扱いについて

今回は、法人である会社の損害賠償金の取扱いについてみていきたいと思います。

まずは、法人が損害賠償金を支払った場合の経理処理についてです。会社が何らかの原因で損害賠償金を支払った場合、支払ったすべての損害賠償金を損金として計上できるわけではありません。

そこで、支払った損害賠償金が損金算入できる場合と損金算入できない場合、また損金算入できる場合の損金の計上時期についてみていきたいと思います。

① 支払った損害賠償金を損金算入できる場合

 損害賠償金を損金として計上できるかどうかは、「業務に関するものか」と「会社の役員や従業員の過失によるものかどうか」がポイントとなります。損害賠償金の対象となった行為等が会社の業務の遂行に関連するもので、会社の役員や従業員に過失がない場合は支払った損害賠償金を損金として処理することができます。

② 支払った損害賠償金を損金算入できない場合

 前提として、支払った損害賠償金が法人の業務の遂行に関連するものでない場合は損金算入できません。また、業務の遂行に関係がある場合でも、会社の役員や従業員に過失が認められた場合の損害賠償金も損金算入することはできません。

このような場合の損害賠償金を会社が支払った場合には、その損害賠償の対象である法人の役員もしくは従業員への貸付金となります。

 しかし、役員もしくは従業員から損害賠償金の返済がされない場合、役員もしくは従業員に支払い能力がないと認められるときは損害賠償金分の貸付金を貸倒れ処理することができます。役員もしくは従業員に支払い能力が認められる場合にはその役員もしくは従業員への給与として処理されます。

 次に、こられの損害賠償金の損金計上時期についてみていきたいと思います。原則として、損害賠償金を支払ったときに損金を計上することが認められています。しかし、この「支払った時」以外に計上が認められている場合もあります。例えば、自動車事故等が発生した場合事故の発生から示談等までの成立に時間がかかるときは、示談等の成立前で損害賠償金の支払前であっても、その支出の日の属する事業年度の損金の額に算入することができると認められています。

 もう一つ、信号無視やスピード違反などをしたときの交通違反金についてもみていきたいと思います。役員や従業員の交通違反金を会社が支払った場合、業務上の交通違反金であっても損金計上はできません。会社の業務上で交通違反金を支払った場合は租税公課で計上し、法人税申告書で調整することになります。もし、業務外の交通違反金を会社が支払った場合は、その役員もしくは従業員への貸付もしくは給与として処理します。

 ただし、交通事故等でレッカー代や交通費などが発生した場合には、その事故が業務上のものであれば、損金として計上することができます。その事故が会社の業務外の場合は、事故等のレッカー代や交通費などを損金として計上することはできず、交通違反金と同様に当事者への貸与もしくは給与として処理することになります。

 それでは逆に、会社が損害賠償金を受取った場合の処理についても考えてみたいと思います。会社が何らかの損害を受け、損害賠償金を受取った場合は損害賠償金の確定した日もしくは支払いを受けた時に雑収入として処理します。

 このように、損害賠償金はその賠償金が業務上のものなのかによって損金として計上できるかが変わってきます。損害賠償金の支払いなどはあまり頻繁にはないものだと思いますが、支払いがあったときにはその賠償金の内容をよく検討したうえで損金計上するようにしましょう。また、損金計上する場合には賠償の内容等を記録として残しておくと税務調査等があった場合に対応しやすいでしょう。

法人設立に必要な届出は

以前の記事では、個人が事業を開始するのに必要な届出をまとめましたが、今回は法人の設立に必要な届出についてみていこうと思います。

法人を設立する場合は、個人で開業をする場合よりも届出や作成する書類が多くなります。

今回は法人を設立しようとする全員が提出する届出、必要に応じて提出する届出、個人事業主が法人を設立しようとする場合に提出する届出をそれぞれ確認していきます。

法人を設立する場合に必要な届出(共通)

法人設立届出書(税務署・都道府県・市区町村)

法人を設立する場合に必ず提出する届出です。

この届出を提出するときに添付書類として、定款の写し、設立の登記事項証明書(税務署は添付不要)、株主名簿、会社設立時の貸借対照表が必要となります。

提出期限は法人設立の日以後2月以内となっていますが、提出が遅れても罰則などはありません。

また、それぞれの都道府県や市区町村によって設立届に必要な添付書類や提出期限は違ってくるので、自分が提出しようとしている都道府県や市区町村のホームページなどを確認するようにしましょう。

法人の設立届を税務署に提出する場合は提出用とは別に届出書の控え(提出用をコピーしても問題ありません)を作成し控えの届出書に受領印をもらうようにしておくと良いでしょう。

法人名での口座開設や融資、年金の手続きなどで設立届の控えの確認が必要な場合があります。郵送で届出を提出する場合は、届出の控えと返信用封筒を同封しておきましょう。

法人を設立する場合に必要な届出(必要に応じて)

青色申告の承認申請書

こちらは、青色申告により申告を行いたい場合に提出します。

提出期限は、法人の設立の日以後3カ月を経過した日と事業年度終了の日のいずれか早い日の前日までで必要な添付書類などはありません。

提出が遅れても罰則はありませんが、青色申告の承認申請書を提出しないと青色申告の優遇制度を受けられません。実際には法人設立届と一緒に青色申告の承認申請書を提出する場合が多いです。

源泉所得税の納期の特例の特例に関する申請書

給与の支払いや税理士等への報酬を支払ったときに徴収した源泉所得税を納める納付期限を徴収した翌月10日までではなく、半年ごとに納付することができる申請書です。

提出期限はありませんが、原則として届出を提出した翌月から適用となります。

この届出も法人設立届出書と一緒に提出する場合が多いです。

給与支払事務所等の開設届出書

法人が給与等を支給する場合に提出する届出書で、提出期限は事務所開設日から一カ月以内です。

個人の場合は、個人の開業届に給与等の支払の状況を記載する欄があるため、開業時には提出の必要はありませんが、法人を設立し、設立時から役員報酬や従業員の給与を支給する場合にはこの届出の提出が必要です。

法人は設立時から役員報酬や従業員の給与を支給する場合が多いため、こちらも法人設立届出書と一緒に提出する場合が多いです。

減価償却資産の償却方法の届出書

この届出は取得した減価償却資産を法定償却方法以外で償却する場合に提出する届出です。

例えば、法人の場合、工具器具備品や機械装置、車両の法定償却方法は定率法となります。しかし、この償却資産の償却方法の届出書を提出することで、定額法により償却できるようになります。

ただし、この届出はあくまで法定償却方法以外の方法で償却する場合に提出するもので、取得資産を法定償却方法で償却する場合には提出の必要はありません。

棚卸資産の評価方法の届出書

この届出は、棚卸資産を法定評価方法である最終仕入原価法以外の評価方法で評価する場合に提出する届出書です。

業種によっては、棚卸資産を最終仕入原価法以外で計算する場合があります。そのような場合は、事前に棚卸資産の評価方法の届出書の提出が必要となります。

法人を設立する場合に必要な届出(個人の事業から法人を設立した場合)

個人事業の廃業届

個人で行っていた事業を法人にする場合は、個人事業の廃業届を提出する必要があります。

こちらは、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、開業時と同じ書式に廃業の日付などを記載して税務署、都道府県、市区町村へ提出します。

こちらは、提出期限が廃業の一ヵ月以内となっています。

所得税の青色申告の取りやめ届出書

個人の事業を青色申告で行っていて、法人化した後も引き続き青色申告を行いたい場合であっても、所得税の青色申告の取りやめ届出書を提出し、法人として新たに青色申告の承認申請書を提出する必要があります。

給与支払事業所等の廃止届出書

個人事業主が給与支払事業所等の開設届出書を提出していた場合は、廃止届の提出が必要となります。

個人事業主が法人を設立した場合は、個人の事業に関する廃業届やとりやめの届出等が必要となります。

しかし、社長の所有する不動産を会社へ貸し出し、法人から家賃収入を得る場合などは、社長は不動産所得を得ることになるため、個人事業の廃業届、所得税の青色申告の取りやめ届出書は提出する必要がありません。

今回は法人の設立に必要な届出をみていきました。法人の設立には法人設立届出書の提出が必要ですが、その他にもそれぞれの会社に応じて必要な届出を提出しなければいけません。

さらに、法人を設立する場合は、今回みてきた届出以外にも社会保険関係や消費税に関する届出など提出を考慮すべき届出が他にも多くあります。

また、個人で開業していた事業を法人にする場合は個人の廃業に関する届出と法人の設立に関する届出を提出する必要があり、さらに届出の種類や内容が煩雑になってきます。

法人の設立に関する届出は、個人が事業を開業するときの届出以上に種類が多く、添付書類なども色々と必要になってきます。

法人の設立には様々な届出や書類の作成が必要となりますが、一方で、個人事業主では受けられなかった様々な税金の優遇措置を受けることができるようになります。

法人設立の届出を漏れなく提出するためにも、法人に認められている様々な優遇措置を受けるためにも法人を設立するときは、事前に会計事務所へ相談することをおすすめします。(今回の記事は2021年11月時点の情報をもとに作成をしております。)

棚卸資産の評価方法

 自社の在庫の評価をどのように行っていますか?

毎月あるいは毎期など会社ごとに決められた一定期間で在庫の数を数えて、金額を算定する企業がほとんどだと思います。在庫の数量は把握できたけれど、毎月の経理や決算月で計上する金額がわからないという場合も多いのではないでしょうか。

企業が自社にある棚卸資産の価格を算出し、棚卸資産として計上することで企業の財政状態をより正確に把握することができるようになります。

 税務上、在庫は棚卸資産といわれ決算期に資産計上しなくてはなりません。また、この棚卸資産の中には完成した商品だけではなく、製造途中の製品や製品を作るための原材料、事務用消耗品である貯蔵品なども含まれます。

ここでは、そんな棚卸資産の評価方法をみていきたいと思います。

 棚卸資産の評価方法には大きくわけて「原価法」と「低価法」の2種類があります。

原価法とは、棚卸資産の取得原価を期末棚卸資産の評価額とする方法です。

一方、低価法とは棚卸資産の時価を期末棚卸資産の評価額とする方法です。

 原価法には個別法・先入先出法・総平均法・移動平均法・最終仕入原価法・売価還元法の6種類があり、原価法と低価法あわせて7種類の評価方法からそれぞれの企業の実態にあった評価方法を選ぶことができます。

そこで、それぞれの評価方法について解説していきたいと思います。

個別法

棚卸資産それぞれの仕入原価を評価額として計上する方法です。

最もシンプルな評価方法ですが、個々の仕入原価を把握する必要があり商品数が多い場合や頻繁に仕入れを行う場合に事務的負担が大きくなってしまうというデメリットがあります。

先入先出法

最も古く取得されたものから順次払出しが行われると仮定し、期末の棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるとみなして棚卸資産の評価額を算定する方法です。

期末に棚卸資産の仕入原価がわかるように、仕入ごとに仕入原価を確認する必要があります。

総平均法

一定期間ごとに取得した棚卸資産の平均原価を算出し、算出された平均原価によって商品の払出単価および期末棚卸資産の評価額を算定する方法をいいます。

期末に棚卸資産の平均原価がわかるように、仕入の都度、平均原価を算出する必要があります。

移動平均法

商品を仕入れた都度、保有する棚卸資産の平均原価を算出し、算出された平均原価によって棚卸資産の評価額を算定する方法をいいます。

最終原価仕入法

期末時点の一番近い日に仕入れた金額を原価として原価×在庫数で棚卸資産を計算する方法です。

毎回の仕入価格を考慮する必要がないため、事務的負担が比較的少なく企業で最も採用されている方法です。しかし、直近での仕入価格と時価との差額が大きい場合は、適切な評価金額が算定されないというデメリットもあります。

売価還元法

百貨店やスーパーなど数多くの商品を取り扱っている小売業で多く採用されています。

商品を種類ごとにいくつかのグループに分けてそのグループごとの原価率を算定します。その算定した原価率×商品グループの売価で棚卸資産の評価額を算定する方法です。

低価法

棚卸資産の時価を評価額とする方法です。

原価法である個別法や最終原価仕入法、売価還元法などで算定された商品の評価額が時価よりも高い場合に選択されます。デメリットとして、時価の把握が難しい棚卸資産には適用できないという点が挙げられます。

 以上のように、棚卸資産の評価方法はいくつかありますが、それぞれの企業の業態や棚卸資産の特徴を考慮した上でもっとも適した評価方法を選ぶことが重要となってきます。また、税務上毎期それぞれ違う評価方法を選ぶということは認められておらず、税法上『一旦採用した棚卸資産の評価の方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきもの』とされています。

 毎期継続した評価方法で評価額を算定することは、評価方法を変えることで利益操作を行うことを防ぐ目的があります。加えて、税法上の法定評価方法である最終仕入原価法以外の評価方法を採用する場合は「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出し、原則3年以上の継続適用をしなければなりません。

償却資産税の取扱いについて

事業を営んでいると、個人の場合には所得税、法人の場合に法人税、そのほかにも消費税や源泉所得税、固定資産税など様々な税金の支払いがあります。

その中で償却資産税という税金をご存じでしょうか?

あまり馴染みのない税金かもしれませんが、償却資産税とは固定資産税の一種で個人事業主や法人が一定の固定資産を所有しているときにかかる地方税です。

今回は償却資産税の対象となる資産やその納付時期、申告方法などを見ていきたいと思います。(償却資産税とは、地方税のため各市区町村により詳細が異なりますが、今回は東京都23区の場合をみていきたいと思います。)

償却資産税の対象となる資産

償却資産税の対象となる資産とは、土地、家屋及び自動車等以外の事業用有形固定資産をいいます。ソフトウェアなどの無形固定資産は含まれません。

基本的には、1つあたりの取得価格が10万円以上で耐用年数が1年以上の有形固定資産が対象となります。

ただし、1つあたりの取得価格が10万円以上20万円未満の資産を一括償却資産として計上した場合には、その計上した資産は償却資産税の対象にはなりません。

(税務上、取得価格が30万円未満で少額減価償却資産として計上した場合は、その資産は償却資産税の対象となるので注意が必要です。)

償却資産税の対象となる資産の具体例

法人や個人事業主が事業のために所有している有形固定資産が償却資産税の対象となるため数多くの資産が対象となりますが、その中でも比較的所有している場合が多いものも具体的に見ていきたいと思います。

パソコン、コピー機、エアコン、調理器具、暖房器具、洗濯設備、音響設備、陳列棚等(自動車は自動車税の対象となるため、償却資産税の対象には含まれません。)

 また、実際に使用していな未稼働の資産や遊休中の資産であっても、賦課期日(1月1日)において事業の用に供することができる状態にあるものは償却資産税の対象となります。

償却資産税の納付の対象となる者

法人または個人事業主で課税標準額の合計が150万円以上の場合には償却資産税の納付義務が発生します。課税標準額の合計が150万円未満の場合は納付の必要はありません。

また、償却資産税の課税標準額の判定は市町村ごとに行うため〇〇市で100万円、××市で100万円とそれぞれの市区町村で課税標準額が150万円未満の場合も償却資産税はかかりません。

償却資産税の申告時期と納付方法

毎年1月31日までに、同年1月1日時点で保有している資産を各都道府県へ申告します。そして、申告及び調査によって市区町村側で償却資産課税台帳が作成されます。この時に、償却資産課税台帳に不服がある場合は審議請求ができます。その後、同年6月ごろに税額が算出された納税通知書が送られてきます。

東京都では通常6月、9月、12月、翌年2月の4回が納期限となります。

償却資産税は法人税や所得税、消費税などのように納付する側(法人や個人事業主)が税額を計算するのではなく、市区町村側で納付額の計算が行われます。

償却資産税の注意点

いくつか償却資産税を申告する場合の注意点をみていきます。
①資産の課税標準額は税込計理の場合は税込み価格、税抜計理の場合は税抜価格となる。
②償却資産税は市町村ごとの申告・納付となるため複数の市町村に営業所や事務所がある場合は各市町村で申告・納付をする必要がある。

市区町村が作成する償却資産課税台帳に不服がある場合は審議請求ができるが、審議請求には期限があり、不服がある場合には、「その処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内」に審議請求をしなければならない。

今回は東京都23区の場合をみていきましたが、償却資産税は都道府県ごとの申告になりますので、実際に償却資産税について確認するときには、自分の申告する市区町村のホームページ等で確認するようにしましょう。

これまで、償却資産税の対象、申告から納付までの流れや償却資産税の注意点などについてみてきました。償却資産税は法人税や所得税、消費税などのように申告書を作成し納付税額を計算する必要はありませんが、保有している資産を報告するときに税込計理か税抜計理かによって申告する取得価格(課税標準額)が異なってきたり、償却資産課税台帳の不服の申出に期限があったりと、ほかの税とは違う注意点があります。 償却資産税についてよくわからないという場合は専門家に聞いてみてはいかがでしょうか

年末調整の仕組みと罰則について

年末調整を行う理由

給与の支払い者(会社)は、毎月の給与の支払時に源泉所得税の税額表に基づいて所得税を給与から徴収しています。

しかし、

①源泉徴収税額表は、年間を通して毎月の給与の額に変動がないものとして作られているが、実際は年の中途で給与の額に変動がある

②年の中途で控除対象扶養親族の数などに異動があっても、その異動後の支払分から修正するだけで、遡って各月 の源泉徴収税額を修正することとされていない

③生命保険料や地震保険料の控除などは、年末調整の際に控除することとされていること

などの理由により、毎月給与から源泉徴収している所得税の金額と給与所得者の年間の所得税額が一致しません。

そのため、年間の給与総額が確定する年末にその年に納めるべき所得税額を正しく計算し、所得税を多く徴収している場合には還付を所得税額に足らない場合は徴収を行います。この一連の手続きを年末調整といいます。

年末調整の時期と期限

年末調整は年間の給与総額が確定した段階で行います。そのため、一般的には12月支給分の給与が確定してから年末調整を行います。

年末調整に関する源泉所得税の納付期限は、事業者が納期の特例の承認をうけていない場合は1月10日、納期の特例の承認を受けている場合は1月20日となります。

それぞれの納付期限までに年間の源泉所得税の計算・納付が完了していなければいけません。(なお、納期の特例の承認を受けるためには届出の提出が必要となります。)

年末調整の対象とならない者

原則として給与の支払いを受けている従業員(パート・アルバイトを含む)は年末調整の対象となりますが、年末調整をしない従業員もいます。

①給与の収入金額が2,000万円を超える人

②2か所以上から給与の支払いを受けている人で、他の勤務先で年末調整を行う人

③年の途中で退職した人

(ただし12月の給与支払い後退職した場合は、年末調整の対象となります。)

④「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に提出しない人

年末調整で受けられる控除

次に、年末調整で適用される控除についてみていきます。所得控除はいくつかありますが、今回はその中でも比較的よく使われる控除を紹介していきます。

(控除については2021年10月時点の制度を参考にしております。)

基礎控除

本人の合計所得金額が2,500万円以下である場合に本人の所得金額の合計額から48万円を限度として、所得金額に応じた金額を控除できます。

基礎控除の適用を受けるには、会社へ「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が必要です。

配偶者控除

本人(合計所得金額1,000万円以下の人に限る。)に控除対象配偶者がいる場合に、本人の所得の合計額から38万円(配偶者が老人控除対象配偶者の場合は48万円)を限度として、所得金額に応じた金額を控除できます。

配偶者特別控除

本人(合計所得金額1,000万円以下の人に限る。)が生計を一にする配偶者(合計所得金額が48万円超133万円以下の人に限る。)で配偶者控除を受けていない場合には、本人及びその配偶者の所得金額に応じた金額を控除できます。

扶養控除

本人に控除の対象となる扶養親族がいる場合は扶養控除が受けられます。扶養親族とは、本人と生計を一にする配偶者以外の親族又は児童及び老人のことをいいます。主に、生計を一にしている子供(年齢が16歳以上)や親、兄弟などが扶養親族の対象となります。

一般的な扶養親族の場合は、扶養親族一人当たり38万円の控除が受けられます。さらに、扶養親族の状況(扶養親族の年齢や同居の有無)などによって受けられる扶養控除の金額が変わってきます。

なお、所得税の場合は16歳以上の子供が扶養控除の対象となります。16歳未満の場合は扶養控除を受けることはできませんが、住民税の控除の対象とはなりますので扶養控除等(異動)申告書の「住民税に関する事項」の欄に忘れずに16歳未満の扶養親族を記入しましょう。

①特定扶養親族

扶養親族の年齢が19歳以上23歳未満の場合は控除される金額が63万円となります。

②老親扶養親族

扶養親族の年齢が70歳以上で、同居している場合は48万円、別居している場合は58万円が控除される金額となります。

③障害者控除

本人、生計を一にする配偶者及び扶養親族が障害者に該当する場合は障害者控除を受けられます。障害の程度に応じて、一般の障害者は27万円、特別障害者は40万円、特別障害者で本人と同居している場合は75万円の控除が受けられます。障害者控除を受ける場合は障害者手帳などで障害の程度を確認しましょう。

また、障害者控除は扶養控除とは違い、16歳未満の子供でも適応されます。

④ひとり親控除

本人がひとり親の場合には35万円の控除が受けられます。

⑤保険料控除

本人が本年中に支払った保険料(生命保険及び介護医療保険、個人年金保険)を所得金額から控除できます。ただし、保険料控除には上限がありますのでご注意ください。

保険料控除の適用を受けるためには会社「給与所得者の保険料控除申告書」の「生命保険料控除」の欄に記入をし、「給与所得者の保険料控除申告書」と「生命保険料控除証明書」を会社に提出する必要があります。

また、配偶者や扶養親族の保険料を支払っている場合には、配偶者や扶養親族名義の保険料も控除の対象となります。

⑥地震保険料控除

本人又は本人と生計を一にする親族が所有している家屋・家財に対し本年中に支払った地震保険を所得金額から控除できます。ただし、控除できる上限は5万円で保険の目的が家屋や家財を保険の目的としている必要があります。そのため、自動車保険や家屋・家財以外の損害保険は地震保険料控除の対象とはなりません。

地震保険料控除の適用を受けるためには「給与所得者の保険料控除申告書」の「地震保険料控除」の欄に記入をし、「給与所得者の保険料控除申告書」と「損害保険料を支払ったことを証明する書類(損害保険会社が発行)」を会社に提出する必要があります。

⑦社会保険料控除

本人が本年中に支払った社会保険料を所得金額から控除できます。生命保険料控除や地震保険料控除とは違い、控除の上限額はなく支払った社会保険料の全額が控除の対象になります。また、本人が配偶者やその他の親族の社会保険料を支払った場合も、社会保険料⑦除の対象となります。

会社が社会保険に加入している場合は、会社が毎月社会保険を納めており、年末調整時に本年中に支払った社会保険料を合算して控除金額を算定します。そのため、従業員が申告書等に記載する必要はありません。

個人で国民健康保険や国民年金を支払っている場合や配偶者や扶養親族の社会保険料控除の適用を受ける場合は、本年中に支払った社会保険料を「給与所得者の保険料控除申告書」に記載して会社へ提出する必要があります。

⑧住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

よく住宅ローン控除と言われていますが、住宅ローン控除は正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。本人が住宅の購入もしくはリフォーム等の増改築を行った場合に、住宅借入金等(住宅ローン)の残高に応じて所得控除が受けられます。

ただし、住宅ローン控除の控除期間や控除額の計算方法、控除限度額などは住宅を購入した年によって異なりますのでご注意ください。

住宅ローン控除の適用を受けるためには、適用を受ける初年度は本人が確定申告を行い、控除の適用を受ける2年目以降は年末調整で行うことができます。

2年目以降の住宅ローン控除の適用を受ける場合は、「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書(税務署長が発行)」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を会社へ提出する必要があります。

なお、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ納税を除く)は、年末調整では控除されないので、自分で確定申告をする必要があります。

年末調整に関する罰則

年末調整が遅れた場合

①従業員側の理由で年末調整が間に合わなかった・できなかった場合

従業員が扶養控除等(異動)申告書などを提出しないために会社側で年末調整が遅れたもしくはできなかった場合は、会社側では年末調整をせずに、従業員に自分で確定申告をしてもらうことになります。

従業員の書類の提出により年末調整が遅れた場合は、会社側に罰則等はありませんが、従業員が確定申告の申告期限(原則は翌年3月15日)までに確定申告を行わなかった場合には、その従業員に無申告加算税、延滞税が課せられる可能性があります。

(所得税の納付がある場合は、申告期間が翌年2月16日から3月15日までとなります。所得税の還付を受ける場合には翌年1月1日から5年間までならいつでも申告をして還付を受けることができます。)

②会社側の理由で年末調整が間に合わなかった場合

会社側の年末調整が遅れた場合には罰則等はありませんが、年末調整が遅れる場合には税務署へ連絡しておくことをおすすめします。

大幅に年末調整が遅れる場合には、各従業員に確定申告をしてもらう必要があります。

会社側の理由で年末調整が遅れた場合の罰則はありませんが、年末調整を行わなかった場合には会社側が罰則を受ける可能性があるので、期限に間に合わない場合でも必ず年末調整を行うようにしましょう。

年末調整を行わなかった場合

原則として、企業が年末調整を行う義務があると規定されています。

(所得税法第190条~193条)

企業側が年末調整を行わなかった場合には、

〇会社の代表者に対して10年以下の懲役または200万円以下の罰金

(もしくはこの両方)

〇会社に対して200万円以下の罰金

が課せられる可能性があります。

年末調整を行わなかった場合の罰則は会社側に課せられるもので、従業員には罰則等はありません。

以上、年末調整を行う理由や控除の内容、年末調整を行わなかった場合の罰則などについてみていきました。控除を受けられるかの判断が難しい場合もあると思います。自分が控除を受けられるか確認したい場合は経理担当者や税理士などの専門家に確認してみると良いのではないでしょうか。

(今回は、2021年10月時点の税制をもとに記事を作成しております。)

創立費と開業費の取扱い

法人として事業を始めようとするときに、法人の設立から実際に事業を開始するまでの間に法人の設立や開業準備のために様々な経費を支出することになると思います。
法人設立の登記料や登記のための手数料や事務所の家賃、事業で使う机やパソコンの購入なども開業する準備として必要となってくるでしょう。今回は、そんな事業を始めるまでの準備でかかっ た費用の会計処理の方法について紹介していきたいと思います。

法人が開業するときにかかった費用は、一般的に「創立費」と「開業費」という項目に計上されます。

まず、創立費とは「会社設立時の登記にかかる費用」のことをいいます。具体的には、印鑑の購入代、印鑑証明書の発行手数料、登記時の印紙代、定款作成のための代行手数料、定款の認証手数料などのことです。その他にも会社の設立(登記)に関わる費用は創立費に含まれます。

次に、開業費とは「会社設立後に事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」をいいます。会社を設立後、実際に事業を始めるまでに支出した費用が含まれます。具体的には、HPや広告等の宣伝費、事務用品や消耗品、事業のための交通費など開業のために支出した費用のことをいいます。

しかし、以下の①、②のものは開業費に含まれないので注意が必要です。

① 車やパソコンなどの備品で10万円以上のもの

備品等のうち、1つあたり10万円以上のものは開業費ではなく固定資産として貸借対照表上に計上して、減価償却をして費用として計上していきます。

② 毎月経常的に支払う社員の給与や水道光熱費

開業費とは、開業準備のために「特別に」支出する費用のことをいいます。そのため、開業後も毎月経常的に支出される社員の給与や水道光熱費などは開業費には含まれず、支出したときに経費として計上することになります。

創立費と開業費の具体的な違いは、創立費は法人の設立に関する支出であること、そして、開業費は会社設立後からの事業を開始するまでの支出であるという点です。

創立費は法人の設立に関する支出、一般的には法人の設立登記に関する費用のことをいいます。一方、開業費は会社設立後から事業開始までの支出とおおよその期間が定められていますが、その内容などはとくに決められていません。事業を開始するために支出した費用のうち、登記に関するもの以外は基本的にすべて開業費に含まれます。

次に、創立費と開業費の会計処理に考えていきます。

 創立費・開業費ともに、資産として貸借対照表の繰延資産の部に計上されます。会計上の償却期間は5年とされていますが、法人税法上は任意償却が可能となっています。

つまり、創立費も開業費も支出した金額の範囲内であれば、いつでも自由に償却(費用として計上)することができます。

法人の設立当初は、まだあまり利益が出ていないことも多いかと思います。法人を設立後、利益が出るようになってから創立費や開業費の償却をしても問題ありません。

基本的に法人が費用を支出したときには、支出した期に計上することが一般的ですが、開業費や創設費は繰延資産として計上でき、また償却も比較的自由にできる少し特殊な勘定科目と考えられます。そのため、創立費や開業費などを正しく計上できれば法人の節税効果も期待できます。

また、事業を開始する前の支出で創立費や開業費に含まれない費用(法人の設立前に支出した費用など)は、設立した期の経費として計上することができます。
ただし、創立費や開業費を法人の経費として計上するためには、レシートや領収書などの内容や金額等がわかる資料が必要となります。

ここまで、開業準備にかかる費用の会計処理についてみてきましたが、開業の準備中はなにかと支出も多く創立費や開業費の判断が難しかったり、また会計や経理以外にも多くの仕事があったりするかと思います。そこで、後になって開業時の創立費や開業費を繰延資産として計上しておけばよかったと後悔しないためにも、開業を考えている場合には、事前に専門家のアドバイスを聞いてみてはいかがでしょうか?

消費税にご用心2 ~消費税の納税義務~

個人事業者や法人などで商売を始めると、「売上が1千万円を越えると、消費税を払わなければいけない。」などということ聞いたことがある方は多いと思われます。

この消費税を納めなければいけない義務が「納税義務」といい、納税義務がある事業者を、「納税義務者」といいます。
この納税義務は、原則的には個人事業主の場合には事業をはじめてから2年間、法人の場合にはおおむね2事業年度(事業年度を変更している場合にはやや異なります。)については免除されています。
しかしながら、これには例外があります。

今回は消費税の納税義務の基本的な知識と、これから事業を始めたいという事業者の方や中小企業者の方にむけて、注意しなければいけない例外について大まかに説明していきます。消費税は非常に細かい話が多いので、どういうときに消費税の納税義務に注意をしなければいけないのかをお伝えできればとおもいます。

まず原則的な取り扱いを条文でみていきましょう。

消費税法5条引用(納税義務者)

事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=363AC0000000108_20180410_430AC0000000007#87

消費税法9条(小規模事業者に係る納税義務の免除)

事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=363AC0000000108_20180410_430AC0000000007#87

条文の中で使われている重要な用語として、課税売上高と、基準期間があります。細かい規定はあるのですが、簡単に一言でまとめると以下のようなものになるとここでは思ってください。

課税売上高とは・・・消費税が課される売上高

基準期間・・・個人事業者の前々年、法人の前々事業年度(事業年度の期間を変更していたりすると変わります。)

法律の条文ですので読み取りづらいとは思われますが、要約すると、消費税法5条では消費税がかかるような売上取引をおこなった事業者は消費税の納税義務がありますと定め、消費税法9条では事業者の基準期間の課税売上高が1000万円以下の場合には免除すると定めているわけです。

つまりこの条文の規定により、個人事業者が事業をはじめたり、会社を設立した場合には、多くの場合には2年間ほどは納税義務が免除されます。

ここまで一般的にも知られているような知識ではないかと思われます。

ただし、例外があります。消費税法9条の末尾のこの部分です。


「ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」

では、その例外である、別段の定めとはどんなものがあるのでしょう。

  1. 課税事業者の選択
  2. 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例
  3. 相続があった場合の納税義務の免除の特例
  4. 合併があった場合の納税義務の免除の特例
  5. 分割等があった場合の納税義務の免除の特例
  6. 吸収分割があった場合の納税義務の免除の特例
  7. 新設法人の納税義務の免除の特例
  8. 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例
  9. 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例

こんなに沢山あります。

それぞれ簡単にではありますが、説明していきます。

1.課税事業者の選択

これは事業者が自ら選択して納税義務者となる場合をいいます。多額の仕入れや固定資産の購入や貿易取引を行う事業者は、消費税が還付される可能性が高まりますので、あえて納税義務者になることを選択する場合があります。納税義務者でない場合には、消費税は還付されません。
この規定の適用をうけた事業者は最短2年間ほど原則的には納税義務は免除されません。

またこの規定の適用をうけた期間中に、調査委対象固定資産(商品または製品などの棚卸資産以外のなどの固定資産や権利などで、一取引単価が税抜100万円以上のもの)を購入した場合には最短でも3年間ほど納税義務は免除されなくなります。

よくあるトラブル

税理士の変更や税理士との顧問契約をやめた際、課税事業者の選択をしていることを忘れていていたり、そもそも税理士とのコミュニケーション不足で知らされていなかったりして、課税事業者の選択をうけることをやめる手続きをとっておらず、消費税の納税義務の免除を受けることができなかった。

2.特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例

これは事業者の前年又はその前事業年度(前年又は前事業年度が7か月以下である場合には前々年又は前々事業年度)の開始から6ヵ月の期間の課税売上高が1千万円を超える場合に、その年または事業年度は消費税が免除をされないという規定です。

課税売上高の代わりに支払ったお給料の金額により1000万円を超えるかどうかを判定することができます。

よくあるトラブル

事業をはじめてみたら、想定以上に売上が上がっており、2年間の納税義務の免除をうけることができなくなってしまった。対象となる課税売上高を、お給料により判定することができるので、事業をはじめる段階で検証をすることで対策を講じることができる場合もあります。

3.相続があった場合の納税義務の免除の特例

 相続により事業を承継した個人事業者が、事業の承継元である故人(被相続人)の承継した事業について納税義務があることにより、その個人事業者が納税義務者となる可能性がある規定です。

4.合併があった場合の納税義務の免除の特例

 合併により事業を承継した合併法人(合併後も残る会社)が、事業の承継元である被合併法人(合併で消える会社)の承継した事業に納税義務があることにより、その合併法人が納税義務者となる可能性がある規定です。

5.分割等があった場合の納税義務の免除の特例

分割により事業を設立した新設分割子法人(分割により設立された会社)が、事業を分割した新設分割親法人(事業を分割した法人)の承継した事業に納税義務があることにより、納その新設分割子法人が税義務者となる可能性がある規定です。

6.吸収分割があった場合の納税義務の免除の特例

吸収分割により事業を承継した分割承継法人(事業を吸収した会社)が、事業の承継元である分割法人(事業を承継した会社)の承継した事業に納税義務があることにより、分割承継法人が納税義務者となる可能性がある規定です。

7.新設法人の納税義務の免除の特例

  設立から2年以内の法人で、出資金や資本金額が1千万円以上となる場合には納税義務が免除されない規定です。
  またこの規定の適用をうけた期間中に、調査委対象固定資産(商品または製品などの棚卸資産以外のなどの固定資産や権利などで、一取引単価が税抜100万円以上のもの)を購入した場合には最短でも3年間ほど納税義務は免除されなくなります。

 よくあるトラブル

 豊富な自己資金1千万円を用意して事業をはじめようとしたにも関わらず、思いもよらず消費税の納税義務をおってしまった。

8.特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

  設立から2年以内の法人で、その法人の株式の50%以上を保有する個人並びにその親族等やその個人が支配する他の法人などの基準期間相当期間(設立日や事業年度からおおよそ2年~3年前の期間)に消費税の対象となる売上取引が5億円を越える場合、その法人の納税義務は免除しないという規定。

よくあるトラブル

 新しい会社などをはじめて、2年間は納税義務が免除されるものと思っていたが、経営者の事業の経営成績がよく納税義務の免除をうけることができなくなっていた。

9.高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例

 事業者が納税義務の免除されない期間に、商品製品などの棚卸資産を含み、固定資産や権利、自分で建築した建物や構築物で、一取引または一つの成果物が1千万円を超えるものを購入した場合には、その購入した日の属する年や事業年度から3年間程度は納税義務が免除されない規定です。

よくあるトラブル

 事業の開始直後に大量の仕入れや固定資産の購入で、消費税の還付をうけたら、すぐに消費税の免除を受ける予定だったが、この規定により消費税が免除されないことが後になってわかってしまい、資金繰りが厳しくなってしまった。

まとめ

消費税の納税義務が免除されない規定を列挙していきました。

事業を始めたばかりの会社や中小企業にとって特に気をつけなければいけないのは・・・

  • 課税事業者の選択
  • 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例
  • 新設法人の納税義務の免除の特例
  • 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例
  • 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例

この4つではないでしょうか。

場合によっては思わぬ納税義務あるいは納税義務者になったほうがよかったなどということが起きかねません。ご商売の状況や会社の設立時の株も保有状況などについてしっかりと相談にのってくれる税理士を探しましょう。