平成28年度における日本の企業数は全体で385万6457社です。(平成28年経済センサス‐活動調査)
企業はその国の経済活動を担っています。
経済活動とは何でしょう?
つきつめると、それは投資と回収の連続性ではないでしょうか
100円でモノをつくって、150円で売る
その50円の部分が経済活動の成果のひと過程です。
その50円の利益を作り出すために投資をし、モノが販売されることによってその50円が回収され、そのお金を元手にまた投資をしていくわけです。
日本の企業数は全体で385万6457社ですが、そのうちの99%以上が中小企業ということになります。
私も新卒から8年ほどはそんな中小企業で働いていました。そこは大手メーカーを元請けにして、中国関連工場で電子部品の加工などをしていたのですが、私には不思議でたまらないことがありました。
「なんで、これメーカーがやらないのだろう?」と。
中小企業に比べたら、一部上場企業のメーカーのほうが豊富な資金や技術があり、人もいます。うちに仕事をくれる意味とは何なのだろう、と。
経済活動とは投資と回収の連続なのですが、投資には必ずリスクがあります。
今では人件費関連の高騰などにより、むしろ中国に中小企業が進出して仕事をするメリットは少なくなってしまいましたが、当時はそれなりにメリットがありました。
とはいえ、大手メーカーは豊富な資金力や人材はあっても、複雑なローカルルールや現地での材料調達、現地での雇用などのノウハウが蓄積していません。そんな中で大量の設備や人を投入して、工場を稼働させて、うまく運用できなければ大きな損失をこうむるわけです。そして大きな会社の場合には誰かがその損失の責任をとらなければいけないわけです。
投資とは機械設備などを導入する、人を雇う、などのお金を支払うことだけではありません。
それと同じくらいノウハウや知識の積み重ねが重要です。そしてそのノウハウや知識の積み重ねには少なからず時間が必要となります。
結局、当時私が勤めていた中小企業は、そんな大手が投資しきれない現地でのローカルルールや経営方法に投資をした結果として仕事をいただけていた部分が大きかったわけです。
中小企業が汎用性が高いものを作って安く販売するということで大企業には絶対に勝てません。
例えば中小の家具メーカーは、イケヤやニトリの家具に単純な販売価格の安さで勝つことはできないでしょう。ブランド力でも欧州のメーカーなどに勝つことはなかなか難しいかもしれません。
しかし例えば、子供が乗っても壊れない丈夫な食器棚を作るなど、家具にとって非常に大事な性能面で上回っている商品を作ることには長けていたりするのです。長く使えることによるコストパフォーマンスが大手との差となり、顧客からの信頼を集めていたりするわけです。ここにその中小企業がどこに投資を集中してきたのか、ということが如実に表れてきます。
「選択」と「集中」という言葉は、仕事をしていれば何度も聞くことがあると思いますし、どの業界や業種、企業の大小を問わずに、それぞれの立場に基づいて重要視されています。
中小企業で「選択」と「集中」の意思決定をする場合、そこで働く経営者、従業員の経験と積み重ねによる部分が大きいです。
その知見に基づき、大手企業、その他競合に勝てる分野に、「ひと」「かね」「もの」の経営資源を投入し、これだけは負けないというような市場のなかで尖った個性を出し続けることが、中小企業の存在理由になるのではないでしょうか。
自分たちの価値が何なのかを知るために、まずは可能な限り競合企業の研究をすることが大事になります。それが地理的な制約をうける場合には、どこでどのようなサービスを展開していくのか、などが重要になるでしょう。そこに他とは違う尖った価値を探してみるのが一番わかりやすいのかもしれません。
ぜひご自身の会社または事業の「尖った価値」の発見に取り組んでみてください。必ず見つけられるはずです。